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第9地区

第9地区 原題:District 9
制作:アメリカ、南アフリカ、ニュージーランド



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渋谷東急にて鑑賞

本題に入る前にびっくりした俳優情報。

主人公ヴィカスをやったシャールト・コプリーさんはいきなり次回作が『特攻野郎Aチーム THE MOVIE The A-Team (2010)』 マードック役じゃないですか! トントン拍子系でしょうか。上手でしたよねこの人。今後に期待大。マードックといえば日本での声優さんは故・富山敬さんですからね。マードック!通称クレイジー・モンキー!いやっふーーーーー!


感想はネタバレをふんだんに含みます。ラストシーンについても言及しています。この映画は些細な情報も知らないで観るのが大吉だと思うのです。ミステリー的に「ああっ…そうだったのかー」というような謎解き映画ではないし、予想できる範囲のストーリー展開ではあるのですが、それでも何も知識を入れず、魅惑的なトレイラーも観ず、シンプルに劇場に行くのがいい映画だと感じました。私も「宇宙人が地球に来訪(?)する映画なんだよね?エイリアン映画?」くらいの知識オンリーで挑みました。大正解。

というわけで、今回は記事を畳みます。


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いきなり観客の脳味噌を?ハテナマークで一杯にしつつも、すんなりと物語に溶け込ませる鮮やかな手口にまず乾杯でした。

既に冒頭の見識者ドキュメンタリー映像で主人公であるらしき男が…何かしでかし、その男がどうやら不幸めいた状態になっている…というのが、ジャーナリストや、見識者のドキュメンタリーの発言からわかるのです。つまり我々が視点をともにする予定の主人公はあまりいい状態にならないな…絶対に危機的状況になっていく…というのがあっさりと提示される。

なので心は身構えるのですが、わかっていてもどうなっていくんだろう…と最後まで目が離せないのです。そして、その冒頭の数日先の未来に私たちは主人公と一緒に追いついていく緊迫感。

数日前の過去ニュース…(でも我々観客にとってはその過去は現在流れているライブ映像であり、そのライブを主軸に我々は主人公が辿った行動を一緒に追っていく)と、その男にまつわるエイリアン騒動後日談…の後日談映像(ニュースや特集番組っぽい映像)が実にうまくミックスされていて、違和感なく私たちは映画に溶け込めるようになっているのです。

その按配がとてつもなく絶妙に配置されていたのがこの映画の成功したところでしょう。

主人公が不幸になっていくのを最初からわかっていながらも、ドキドキ感を持続させるパワー。かといって全ては提示されてないのです。ぎりぎり明かされない結末を追いかけさせてくれるのです。不幸になりそうだけれども…もしかしたら…もしかしたら…という期待感を増幅させる演出には舌を巻きました。くるりん。

もちろんこういった手法の映画はいくらでもあるでしょう。目新しい演出ではないからこそ、興奮を持続させるのは難しいと思うですよ。

例えばスタウォーズのエピワン~エピスリーを思い浮かべてみましょう。既にアナキンはダースベーダーになるとわかっているのに…ドキドキするわけです。未来はもうわかっているのに。もちろん、未来に対する展望は『第9~』とは違うので必ずしも同じ感情はわき起こらないとは思うけれど、ある程度わかっている未来なのに、シナリオがダレていかないのは監督の腕の見せ所でしょう。スタウオは多少ダレますからね。スタウオは当然愛する映画なのでダレてもイベントのように楽しみましたが。


そして宇宙人との接触、宇宙人の見せ場…それも冒頭からいきなり全てをオープンにしてしまいます。じりじりと…ほーれほれほれ…どんな宇宙人かなあ…ほりゃっ…とりあえず…触角だけチョロッっと…なんていうことはいたしません。

いきなり宇宙人全開です。

気楽に未知との遭遇です。地球人は意外と積極的でした。シャンデリア型とくれば未知との遭遇ですからね。でも『第9~』の主人公はマッシュポテトを練り上げたりしませんよ。むしろ猫缶に夢中です。

いきなり宇宙人全開というとティム・バートンの『マーズアタック』を思い浮かべますよね。あれでさえ多少ジリジリしてましたもんね。マーズアタックの宇宙人はコミックっぽかったじゃないですか。もちろんそれがキュートで毒気があってあの映画も素晴らしいのですけれど。

しかし『第9~』はリアルなんです。リアルって…造形じゃなくって…雰囲気がリアルなんですよ。コミカルなのは同じなのですけどね。生活感があったせいでしょうか『第9~』のエイリアン描写には…。そして次第にバグズライフになっていくというハートフルな展開も素敵。

数十年前に宇宙船が現れて…といった過去の話も素早くテキパキと説明がなされて、既に現在の状況をカメラは写し出すのです。その素早さに惚れた。

隔離されてるとはいえ、スラム化しつつも普通に宇宙人が生活している描写もナイス。いい感じでやさぐれてます。そしてその宇宙人と生活をともにしている人間ギャング集団の配置もいい配置っぷり。アフリカンラップ(?)が流れていい感じです。スラムっぷり。観客はここまで疑問を挟む余地がありません。

疑問は挟まないけれど、私は「ここに爆弾落として宇宙人殲滅させちゃってもいいんじゃないの?」

とアイディアを提示してました。脳内で。そういう方向にストーリーが展開してくのかしら…とも思ってました。何とも即物的です。この時点では地球人サイドとして脳は展開してました。私が地球のお偉方だったらこうやるのに…みたいなね。しかも即物的。

そしてMNU (英:MULTI-NATIONAL UNITED) …国家機関の社員であるヴィカスがスラム化した第9地区から宇宙人を移住させるリーダーを任されます。パッと見、既にもう頼りなさ全開のヴィカス。役所の立場だから…軍人みたいなタイプじゃないだろうと理解していても頼りない雰囲気。もちろん本人はヤル気満々なのですが、宇宙人に言い聞かせて折衝するようなタイプの人には見えません。すぐにカラクリはわかるのです。つまり奥さんのお父さんがお偉いさんなのですよ。権力系の義父なのです。したたかな義父です。ドキュメンタリーで婿についてインタビューされた時は「別に娘の夫だから彼を昇進させたわけじゃない」などときれい事。娘の夫だから昇進したのだというのが逆にすぐにわかります。

こういった主人公の描写もてきぱきと端的な映像ですぐにわかるようになっているのもよかった。

で、ヴィカスが軍隊みたいな人達(この人達はヴィカスと違って武力行使大好きっ子)と地区に赴いて移住の説明を役所っぽく戸別訪問していくのですが、ここいらの描写は爆笑でした。

そのシーンに行く前の宇宙人の生活描写も私は爆笑した。

しかし、映画館では何故か笑っている人がいない。私だけ…何故?ここは手を叩いて笑うべき…という笑いツボの連続だったのに!みんな真剣に(私も真剣だったけれども)画面をじーーーーっと見詰めてるの…。

猫缶なんてもう最高ですよね。ギャングと宇宙人の猫缶物々交換、宇宙人が住民から金を奪った…みたいな日常ニュース…全てが爆笑でした。

なので、私はこれはコメディ映画なのだと最初勘違いしたほどですよ。最後までドッカンドッカン笑ってお馬鹿にゴーなのかと思った。もちろん最後まで笑わせてくれるのですが、ダレも笑わないの…昨日の劇場…どうしたのかしら。みんな宇宙人だったのか!

即物的判断。

映画はストーリーが進むにつれ、シリアスな展開になっていくのですが、要所要所でコミカルなんです。そこで私はぐはっ…と笑ってしまっていたのだが…周りの観客は息を潜めて映画を観てるんです…おかしいな…。

そういえば私だけメガネをかけてなかった!

あ、斜め前の人もかけてなかったわ…。別に立体映画ではなかったですし、メガネをかけてると笑わない神経ガスが放出されているのでもなかったようです。逆ゼイリブだったのかもしれないけれども。笑うな…というサブリミナル!

私にはきかないわよ!だってメガネをかけてたんだから。心のメガネを!

意味がわからなくなってきましたが、とにかく冒頭からぐいぐい爆笑なんですよー。完全にコメディSF。

そして主人公ヴィカスが個別に宇宙人宅を訪問して許可を得る場面に大爆笑。すごーく滑稽なんです。最初、我々観客は宇宙人との会話はどうやっておこなっているのだろう?と疑問を持って訪問を待ち受けるんですよ。翻訳機みたいなのがあるのかなー、MNUの社員は言語をもう理解して…訓練されてるから彼らだけが喋れる立場なのかなー…とかね。

ダレもが宇宙人と気楽に喋ってます。

そのあたりも説明ないのに、納得させてくれるんです。強引に全てをなぎ倒して観客を巻き込む演出は相当な腕が必要です。疑問が頭に残るのがいい場合もありますが、ま、いいっか…。気にならないな…(そりゃ突っこもうと思えばいくらでも突っこめるけどね☆)。と観客をなぎ倒してくれればいいんですよ。中途半端ななぎ倒しはよくありません。説明するなら説明する。しないならしない。どっちかですよ!説明が野暮になる場合もあるし、説明しないのはやっぱりおかしい…ってなる映画もありますからね。そのあたりどちらを選んでも美味く料理するのが監督の腕の見せ所。観客を魅了してしまえばそっちのものです。そっち=監督。

素晴らしい設定なのは主人公のヴィカスです。こいつ…意外とむかつく男なんです。そう、そこがまたいい。人間らしい駄目部分がふんだんにあり、キレやすい…というのも冒頭の個別訪問でわかるのです。でも、いい人でもあるのです。単純に博愛主義者でいい人にしなかったのは大正解ですよね。エイリアン大好き派じゃないわけです。かといって嫌いでもない。軍の武力チームには「撃つのはよくない」と本気で言っているのに、お菓子をあげたエイリアンの子供にそのお菓子を投げてつっかえされると、すんごい怒ったりするの。

最初は温和な雰囲気で出てくるんです。見た目も確かに温和。洋服の着こなしも上手い具合にダサイ。つまりダサイ感じの男なのですよ。迂闊に宇宙人の品々をいじっちゃうのもお約束。ベタなお約束が彼を窮地に追い込んでいくわけです。

で、カメラが折衝チームについてるのね。MNUの同じ社員なのだとは思うけど、カメラクルーが記録としてこの様子を録画してるのです。でも、ヴィカスは自分が格好悪い状態になったりすると(嘔吐したり…迂闊に何かをいじって…しまって失敗したり)カメラに向かって「撮るな!とめろ!撮るなったら!」と大激怒するんですよ。温和のかけらもない。

これは、ドラえもんにおけるのび太が意外とキレやすい…っていうのと似ていてほどよくムカツクようにできてるんです。主人公の嫌な部分が浮き出ているわけです。

ヴィカスの性格設定がストーリーにうまく馴染んで物語が展開していきます。

可哀想な目にあうんだけど、ただ可哀想なだけじゃないので、湿っぽくならないのです。もちろんラスト近くはうるうるっときますけど、良い感じの湿り気なんですよ。ヴィカスの我が儘でせっかくのチャンスもパーになりかけるんです。

クリストファー・ジョンソン(名前は地球人が勝手に割り当てた名前なんですよね?そのあたりも説明ないのに何故かピッタリはまる不思議…)を殴って、司令船を奪っちゃうじゃないですかヴィカス。そりゃ三年も待てないのはわかるけど…でもすごく短絡的。クリストファーを置いてけぼりにし、クリストファーの子供に嘘をついて、勝手に飛ばそうとするんですよ。ひどすぎる!!ヴィカスのバカ!

で、この後の展開もどうなるどうなるで…ギャングを上手に使ってましたよねー。なるほどね。これで窮地をとりあえずは…ね…。でもまた違う窮地がおとずれるのですが、しかしその窮地からも一時的には救われるのです。

目先の救済の積み重ねが小気味いいんです。窮地→救済…この繰り返しがラストに向けて…だんだん…簡単には救済されなくなっていくのがまたもどかしくって素晴らしい。

でも救済…というかピンチを脱出する場合の胸がすく感覚は最高に気持ちのいい映画でしたよね。痛快なんですものすごくね。

ヴィカスはとある力を手に入れます。それはMNUからある物質を取り戻すために乗り込む時点でも、痛快なパワーを見せつけてくれるのですが、ラストのバトル付近で、エイリアン2でのシガニー・ウィーバー状態になるんですよ。シガニーは闘うためにそれに乗りました。けれど、ヴィカスは逃げ出します。クリストファーが捕らえられて殴られているのに助けません。「そのエビは好きにしてくれ」などと言って逃げるんです。強い武器を搭載した乗り物に乗ってるのに!それで、そのひどい軍人どもをふっとばせば…?という疑問をかなぐりすてて逃げるのです。当然、軍人リーダー(良い味出してました)がヴィカスを徹底的にこき下ろします。「逃げろ、お前は逃げるだけのカスだ!」くらいの台詞を逃げるヴィカスの後ろから叫ぶのです。

ここでもヴィカスの一時的クソっぷりが垣間見られます。基本、弱い人間なのです。ヴィカスだけじゃありません。ダレでもそうなってしまうでしょう。そしてヴィカスはふっきります。少し心の葛藤があり…現場に戻るのです。ここ最高でしたね。わかっちゃいるけど、ベタな展開だけれども喝采場面です!!いやっほーーーーーーー!

ここからラストまでは更なるジェットコースター状態。ヴィカスを攻撃してくる人間が液体状にほとばしります。

一番、敵対していた軍人リーダーはリーダーらしく、簡単に液状にはなりません。そこは見せ場。ゾンビに群がられて引き裂かれる図が展開されます。ゾンビではなく宇宙人にですが。徹底的にやっちまって欲しい、こいつは特に…という我々の願望を具現化してくれるシーンです。苦しませて死んで欲しいと願っている自分がいるわけです。もっと至近距離で引きちぎられるシーンを観たかったほど。ここカメラワーク、わざと遠目からでしたよね。でもゾンビ映画じゃないのでこれくらいがほどよいのかもしれません。残酷慣れしている人間は欲望が深いのでありました。ほら、エイリアン2でも小ずるいムカツクあの地球人の男はエイリアンにやられちまいな!と思いながら観てたじゃないですか。そして案の定、エイリアンにやられてしまう。殺戮シーンは実際にはなかったけれど、してやったり!と人間である私が思うのです。脳も身体も満たされる瞬間です。

話は前後します。そのリーダーはさすがにリーダーだけあって人間の中でも最後に死ぬのですが…、その前の段階で、雑魚軍人どもをヴィカスが倒し始めるシーンに突入してから…

既にもう私はヴィカスと一体化していた。自分を攻撃してくる人間を…そしてクリストファーを守るために躊躇なく同胞である人間をエイリアンの武器で命中させていました。既に敵である人間を木っ端微塵…よりさらに液体っぷりにやっつけるのにまったく何の躊躇もしない自分が映画館にいた。それは私。それはあなた。

爽快感さえ感じたのです。

あの爽快感は何なのでしょうか…。しかも既にヴィカスは自分が助かるため…というよりはクリストファーを宇宙船に戻す目的でやっているのです。子供が待つであろうあの船にこの父親エイリアンであるクリストファーを届けるために。

自分の生を守るために障害になる全てをぶっつぶす…じゃないんですよ。そこが泣けた。もちろん自分の生命力を守ろうという本能も当然働いていたでしょう。

そういう場合は人って躊躇しないんだな。私もきっと躊躇しないだろうな…。

何といってもエイリアンの武器の爽快感といったら。人間が飛沫になって飛び散るってすごい爽快感なんですよ。やばいよこれ!

あ、この戦闘シーンで軍人が母船に帰ろうとしている司令船に向けてバズーカぶっぱなすじゃないですか。そこでパワーローダー状態の主人公が弾頭をグワシッと鮮やかにキャッチする場面はスタンディングして拍手すべき場面でしょう。

それにしても、エイリアンを吹っ飛ばして状況を打開するんじゃなく、人間を吹っ飛ばして状況を打開するのがこれほど爽やかな感覚を呼び起こすとは…。人間蹴散らせゲームも最近はありますよね。そうゾンビゲームやってて、昔から思っていたのですが「ゾンビやっつけるのもいいけどさ…たまにはもうゾンビになって人間をやっつけたくないか?」という願望。それはもう既にありますよね。人間が人間をぶっ殺しまくるゲームだって普通にあるわけですから。

でも、人間が人間をクレイジーにぶっ殺すゲームはそれほど爽快感は得られませんでした。やはり動機が弱い。ただのクレイジーはつまらないんですよ。クレイジーだもんね…だから。そこに至る何かがないとね。

そのへんも上手だったのは、主人公は自分の不注意のせいですがエイリアン化していってるでしょ?自分がエイリアン…になった途端に、人間にこれほどまで疎んじられるのか…という爆発力みたいなものがあるんですよね。このラスト付近で主人公が軍から総攻撃されるのもひどいのですが、主人公に対しての酷さ…は、主人公が液体で感染した直後にもう人間扱いされないの。あそこ素晴らしい酷さで震えた。心理的残酷度マックス!!人間扱いまーったくされない。数十分前まで人間として扱われていたのに。手がああなっただけで、麻酔もされず、気楽にメスで組織などを切り取られちゃうし、手術している場所も既にエイリアンを解剖したりする場所なの…。もう主人公は人間としてカウントされてない!!心臓も麻酔なくても平気だろ…取り出しちゃえ…みたいな拷問的解剖度。でも…確かに我々もカエルの解剖に麻酔してやらないですもんね…。すんすんっ…すんすん…料理する時も生きたエビに麻酔はしないもの…いきなり熱湯ぶっかけたりするのだもの…。

そして拷問的実験は続くのですが、エイリアンの武器はエイリアンにしか使えないという設定がこれまた最高の設定。

エイリアン細胞に犯された主人公はエイリアンの武器を扱えるかどうか、実験をすぐにやらされます。実験シーンはこの映画で、一番の精神的ゴアシーンだったと思います。描写的には全然グロくはないのですが、科学者(医者?)の拷問を越えた実験に反吐が出ましたよね。こいつ、絶対に殺す…と既にメラメラしてましたよ私。この科学者に死を!と…。主人公も泣き叫んでやめてと頼むのに、完全に無視。人間として扱わないっぷりに目眩がした。すごく貴重な実験体、でもエイリアンなんだから(まだ全然人間なのに!見た目も何もかもが人間なのに!)どう扱っても構わないっぷりがすごいんですよ。残酷度マックス。

そして主人公も観念して撃つのです。それなのに科学者どもは酷いのです。

「撃つから…もうそれはやめてくれ…」「何故だ?何故撃ったのに…それをやるんだ!」


そう、科学者どもは主人公が武器を撃たないと電撃(?)をくらわせるんですよ。凄まじい電撃をね。で、観念して主人公は実験に従うのに、科学者どもは電撃をくらわせるんです!!何て酷いのだろう…。

そして撃つ標的は最初…ブタ…なんです。何故、ブタ?艶めかしブタでしたよね。最初、人間の皮を剥いだ状態なのかと思ったよ。ブタは映画のスパイスになっていて、よく見ているとブタはラスト近辺でもナイス出演です。

もちろん標的は変わります。エイリアン…生きた宇宙人を撃つように実験室で言われるのですが、ここで主人公が優しい心もあるんだな…っていうのがわかるんですよ。優しい心というか…意味のない殺戮は本当に好んでないんだなという描写。

軍人どもは宇宙人殺しを楽しんでるわけです。殺すのに何の躊躇もない。

その差が明確になるいいシーンですが、キツイシーンでもあります。

その実験は無駄ではなく(主人公にとってね…)、先ほども書きましたが、エイリアンの武器を使えるんだ…という情報は主人公にとって唯一、有利に行動できる大事な要素になるわけです。

ここでエイリアンについてですが、外見がエビ(PRAWN)に似ているので、人類からはエビと呼ばれるのですが、エビに見えました?私は昆虫系に見えてしまったのですが、エビってああだっけ?幼虫っぽいエビ(カマドウマみたいなやつ)は赤ちゃん状態なのかしら…。それとも宇宙虫だったのかなあれは…。

子供エイリアンは大人と同じ格好で小さいだけなんですけどね。

それにしてもエイリアンにうまく感情移入ができるように作られていました。特にクリストファーとその子供はさすがの描写でしたよね。そう、なので私は突然、バグズライフっぽさをそこに感じ取ったのです。ストーリー展開ではなく、トイストーリーやバグズライフってきっちり感情をもてるじゃないですかキャラに。それと同じ感情をエイリアンにも感じられたのです。表情もそれほど複雑な表情をさせてないのに、その喜怒哀楽を感じ取れるのです。ほら、最近のCGアニメって素晴らしく技術が発達しすぎたのか、逆に怖いほど表情がぐりぐりあるじゃないですか。それが恐ろしかったりしますよね。え、豊かすぎて逆に胡散臭い!と…感じる場合もありますよ。子供向けCGアニメなのに怖いよ!

しかし、『第9~』ではほどよく抑え気味のクリチャー表情が活かされてました。ヴィカスが「そんなエビどうなったっていい!」と逃げ出す場面でのクリストファーの寂しそうな表情…ぐっときます。実際に目の前にいたらギャーギャー騒いで卒倒しそうなほど怖いですけどね。虫苦手だもの本当は…。エビだったとしてもあんな巨大なエビが目の前にいたら死ぬ。見た目だけで卒倒。

エイリアンには子供がいるが、ヴィカスにはまだ子供がいないのもよかった設定の一つかもしれません。ヴィカスに子供がいたらいたで…違う雰囲気を醸し出せただろうし、ストーリー的にも、もう一本平行した親子愛(?)が展開されたとは思うのですが、ここはまだ妻がいるだけのヴィカス設定でOKでしょう。でもエイリアンには子供がいる。その対比も非常によろしい。

奥さんの出演率もほどほどに抑えられていてそこもよかった。奥さんベッタリ奥さん大活躍映画にもできたかもしれません。しかし、奥さんはスパイスとして存在しただけなのがよかった。

奥さんもパニックになってたとは思うけど、実の父に「お前の夫はエイリアンの女とのセックスにふけってたんだよ…あいつは異常者だったんだ」みたいな内容を言われて…「パパーァアア!」となるのかな。もちろんすぐに持ち直して、夫である主人公を信じていたようだけれども。私は疑い深い人間なので実の家族だからってトンチンカンな発言をしたら容赦なく疑います。私の父がこの奥さんの父みたいな台詞を言ったら「そんな馬鹿なことあるわけねーだろボケが!」とぶったたくところです。実の父親でもです。むしろ父親だからこそ頭がおかしーと訝しく思いますよ。家族だからって何でもかんでも愛すべき発言をする人ばっかりいじゃないですからね!私の祖母などは良い意味でクレイジーなので彼女の発言を耳にするたびに「事実は小説より奇なり」と呪文を唱えるようになりました。

もちろん自分の好きになった配偶者や彼氏がエイリアン化してったら、どんなトンデモ話でも信じてしまうかもしれませんけれど。自分の旦那はそういった職場に既にいたのだから、セックスじゃなくたって感染する可能性はあったかもしれないじゃないですか。もちろんセックスでそうなったって構わないけれども。でも上手なのは女性の売春婦はいるっていう設定なんですよ。人間の女性がエイリアン相手にセックス商売っていう描写ありましたよね。セックス描写はないけれど。なので…人間の男性が女性エイリアンと…というのもないわけじゃない…というような伏線はしてたのかなと。

東スポっぽいノリで「異星人と異性間行為により…逃亡中のヴィカスという人間はエイリアン感染してます」なんていう情報が蔓延するのはアリですね。実際そういうノリになってましたしね。上層部のチープな策略が功を奏しているわけです。

こういうB級設定をかましながらも上質なヒューマン娯楽ドラマになったのは、色々な要素が実に運良く積み重なった成果なのでしょうな。運良くというのは…もちろん運も実力のうちですからね。そして運を持続させるためにも、監督には更なる精進をつんでもらい、1作目が一番良かったではなく…次も次も良かった。たまにはハズレもあるけど、素晴らしい監督だ!というような監督になるのを望みます。

そしてラストについてですが、奥さんのシーンで終わりだったとしても私は満足していたと思います。

最後のあのシーンはなくても成功していたでしょう。

もちろんあのシーンがあったから安心して見終えられたというのもあります。あのシーンがない場合は…。どうなったんだろう…主人公…政府に捕まっちゃった…(と、世間ではそう言われているとなっているわけです)。切り刻まれてるのかな?それとも生かされて…いろいろ実験させられてるのかな?子供を産む精子なども取り出されたりしてるのかな…と思って終わりでもいいわけです。そして三年後にきっとクリストファーが助けにきてくれる!という思いを馳せるわけじゃないですか。

最後あのシーンを観た瞬間、不思議とホッとしませんでしたか?ラストのシーンあるなし議論ではなくね。完全体(セル!)になってしまっているのにすごくホッとしましたよね。異常な安堵感が脳を支配しました。完全になってしまっているのにこの安堵感…。つまり政府には捕まってないわけです。希望度が高まった。クリストファー度がより高まるわけです。

不安な気持ちと期待に満ちた気持ちを持ったままのラスト(つまり最後のあのシーンを入れないバージョン)は更なる文芸(?)ぽさを高めたかもしれませんが、安堵感と期待は娯楽映画としては必須アイテム。ニッコリと微笑んでラストを受け入れられました。

残されたエイリアン達は宇宙船が去った後、第10地区に移住させられたのですが、そこに主人公もいるのかもしれません。確かに人間としては辛い生き地獄でしょう。それでも彼はまだそこにいる。ラストシーンではゴミの山にいたのでそこがまだ第9なのか第10なのかはわからないのですが、生きているのは確実なのです。こんなに嬉しいことはない(アムロ)ですよね。OK素晴らしい。

映画終わった後、映画館のトイレに並んでいたのですが(女子トイレは必ず長蛇の列になるの法則)、女性二人でいらしていた方は「ねえねえ…あのラスト…彼はエイリアンになっちゃったけど生きてるってことだよね」「ウンウン!そうだよねそうだよね!」と安心した会話をしていたのです。よし安心。

しかし私は下品な人間なので、どうせそういう会話をするのなら、「嬉しくってあのエイリアンみたいに立ち小便したくならない?」と続けて欲しかった。

男性ならやるべきです。立ち小便じゃないですよ!トイレで立ち小便はいいですけど、そこらへんの公共の場での立ち小便は処罰の対象であります。

や、冒頭のエイリアン訪問シーンでエイリアンが立ち小便してるのを人間に怒られるじゃないですか。「こら、小便すんなよ」と。エイリアンってば、すんごい豪快に立ち小便してるんですよ!あそこ必要以上に私はツボにはいって爆笑してました。秘やかに。だってダレも笑わないから。何故だ。

ちなみに尾籠な話で申しわけないですが、男性の立ち小便は昔はよく見かけましたよね。もうあっちでもこっちでも…。気のせいかしら。しかし衝撃的なのはお婆さんの公開立ち小便でした。や、座ってたけど。お婆さんって私の祖母じゃないですよ!知らないお婆さん(多分、ショッピングバッグレディ)なのですが、駅前のロータリーで。私はタクシーに乗ってたのですが、タクシーの運転手さんと二人で顎を外した。タクシーの運転手さんも「ありゃヤバイだろう。あーあーあーあ…バーサン……ああ…」と唸ってましたから。女性器をタダで拝めたぜ!ヤッホー!みたいな状況じゃないんですよ!割と衝撃的なシーンでした。昼間でしたしね。またここに事実は小説よりも奇なりが明るみになりました。

それでも私は映画や小説、漫画の、とんでも展開に胸を躍らせます。実生活の驚愕顎外しは自分がかかわって洒落にならない場合が多いですが、映画や漫画、小説は単純に楽しめますからね。どんどん我々観客を楽しませてください映画作る人達!

いい映画を春先から観られて脳内満足です。ありがとう素敵映画!


あ、それと私の「いい男はどこかいないか俳優ハンターサーチ能力」は、ジャーナリストのあの男性にロックオンです。一番、ジャーナリスト(もしくは見識者)の中で出演していたあの俳優さん…。あの人素敵…。ああいう顔好き…。

どんな状況であっても「俳優リサーチギラギラ視線」は外さない精神でこれからまだまだ映画を見続けていきたいと思います。

ではよい映画鑑賞を!


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全てのカテゴリでネタバレあり。

18禁的な感想もあり。その場合は記事ごとに注意をつけていきます。

映画、海外ドラマの感想、俳優に対するパッショネイトが中心の映画ブログ。

ブログのタイトル Movie Star No.1 は ポール・ベタニー出演映画『ギャングスター・ナンバー1 (Gangster No.1)』から。Gangster の綴りはよく見ると star ではなく ster なのですが、映画スターといえばやはり☆ということでミックスしました。

ポール・ベタニー(英)とアウグスト・ディール(独)、ダニエル・ブリュール(独)、バーナビー・メッチュラート(独)、セバスチャン・ブロムベルグ(独)、ビロル・ユーネル(独)に惚れ込み中ですが、女優・男優 問わず、素敵な俳優さんをご紹介していきたいと思ってます。

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