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マージン・コール

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マージン・コール 原題:Margin Call
2011年 アメリカ作品


監督/脚本:J・C・チャンダー

出演者

ケヴィン・スペイシー
ポール・ベタニー
ジェレミー・アイアンズ
ザカリー・クイント
ペン・バッジリー
サイモン・ベイカー
スタンリー・トゥッチ
デミ・ムーア


あらすじ(Amazonから引用)――

2008年、ニューヨーク。ウォール街の投資会社で大量解雇が始まった。解雇対象となったエリックは、アナリストのピーターに「用心しろよ」と意味深な言葉を残しUSBメモリーを託す。原子物理学の博士号を持つピーターは、その部署でリストラから生き残った数少ない1人だった。その夜、エリックから引き継いだデータを調べるピーターは、会社倒産をも招く危機的事態に気付き上司のサムに報告すると、深夜、緊急の重役会議が開かれることになる。8兆ドルもの資産の命運を左右しかねない状況で、彼らは経済的・道徳的にも崖っぷちに立たされることになっていく。決断の時は、刻一刻と迫ってきていた……。

簡単な解説(ウィキペディアから引用)――

この作品は自主映画として制作された。大手投資銀行(大まかにリーマン・ブラザーズをモデルとしている)の24時間を舞台とし、2007年に発生した世界金融危機に焦点を当て、金融危機のあいだに従業員たちが取る行動が描かれる。


日本語字幕付きの予告(日本公開はされてないんですが(DVDは日本版は出ました。私もそれで鑑賞したの)、有志の方が日本語字幕を付けてくれたようで、それを御紹介♪ 





久しぶりに作品として面白い映画に出会えた。そしてポール・ベタニー出演作品としても、近年では一番かも! というほど気に入ったわ♪

ネタバレを豪快にしつつ(最後のシーンなどには言及しません。雑感は述べるけれど)、一緒に『マージン・コール』を振り返ってみましょう。是非、作品を御覧になってから、立ち寄っていただけると嬉しく思います☆

二度続けて観て、より納得がいきましたの。もちろん一度観ただけでも、単純なお話ですし、それほど混乱はしないんですが、経済的なお話な為、「あれはどういう意味かな?」 と考えているうちに、するすると話は進んでいってしまいますのよ。私が経済に詳しければ脳内で立ち止まらないで、すんだのだろうけれども!

しかし、娯楽映画ですから安心してください。経済に疎くてもエンターテイメントとして鑑賞できるように上手に料理されてます。

二度続けて観たのは、すぐにキャプチャーしたいがためでした。この情熱、最近観た『プリースト』では見受けられなかった、私の熱き魂。『プリースト』の感想は長かったけど、わざわざキャプチャーしたりしなかったでしょ! 公式スチールだけで乗り切ったともいえよう。しかし、少し反省してるんですよ。監督の手腕にばかりギラリと目を輝かせてしまって、ポールをそれほど堪能しなかったんじゃないか――と思うのです。『プリースト』に関しては。

だが、『マージン・コール』では存分にポールを堪能しました! 他にも素晴らしき俳優さん達が絶妙の演技。そして、ポールはこういう役柄ぴったりです。現代版のチョーサーっぽい雰囲気で、まさにポールの十八番演技だったんじゃないかしら。軽妙でいながら、人情にも厚く。だけど、ドライに割り切ることもできるといった、まさにポールの為に用意された役柄ともいえましょう!

ポールの魅力は感想を述べながら一緒に熱く語りますわね。

まず、作品全体の感想を。あらすじや、解説にある通り、「金融業界のとある一日」を描いた作品です。ただ、派手な演出ではないし、金融映画作品で有名な『ウォールストリート』みたいな大げさな雰囲気は殆どないの。だが、そこでおこっている現象は、相当に大事件で、実際に数年前に大変な状況に陥った金融危機を描いているのですよ。しかし、的を絞った演出のおかげで逆にリアル感を醸し出していたような感じ。秘やかでありながらも大変な出来事……が、一つの投資会社を発端にして――といったシチュエーションをじっくりと淡々とそれでいて、どうなるのかしら……といったハラハラ度も見せつけてくれる、小粒ながらも大変に素晴らしい仕上がりになっておりますの。

もちろん、細かく突っ込めば突っ込める場面もあるんですけどね。でも、意外と危機に面している時って、こうやって少人数で何となくあっけなく企業の舵取りをしているのかも――とも思えますのだよ。マンハッタンにそびえ立つビルがバーンと爆破されて、金融危機がおっぱじまる! ダイ・ハードなブルースが割れた窓から飛び込んできて、「株価の操作はやめろ! 今すぐにだ。そうしないと大変なことになるぞ!」と、ジェレミー・アイアンズに食ってかからなくても、経済は回っていくのでした。無論、そういうダイ・ハードな金融危機も、面白そうですけどね! しかも『ダイ・ハード3』では実際にジェレミー・アイアンズがブルースの敵として出てきてましたし♪ 美麗ジェレミー。

しかし、地味な映画でもないんです。この監督は演出が上手。金融玄人は、騙せないかもしれませんが、エンターテイメント的に一般市民を魅了できればそれが最高なんですよ。ジェレミーだってこの映画の中で言ってたじゃないですか。「赤ん坊や犬でもわかるように、俺にその小難しい話を教えてくれよ?」てね。 それ娯楽映画では大事な要素です。わかりやすくっていうのは大事。

地味ながらも俳優の出し方が上手なんです! じわじわと少しずつ、あの俳優がこう、この俳優がこう……とその見せ方が大変に良かったです。ストーリーにあった展開でした。ワクワク感があるんですよ、ものすごく。

俳優さんがゴージャスでしたからね。自主映画なんだけど、シナリオが良かったので、きっと素敵な俳優さん達も納得して出たんじゃないかな。ギャラというよりも作品に惹かれてやってきた人たちって感じ。

この作品はポールの情報カテゴリーで、撮影開始時からずーっと記事にしてきました。だから、何かこう感動もひとしおです。「あのロケがここか!」みたいなね。お時間がありましたら、ポールカテゴリーの情報部分をチェックしてみてください。当時のロケ風景などが垣間見えますよ♪ マージン・コールとしてのカテゴリーではないので、他の記事も混じってしまってますが、プレミア風景を含めて結構『マージン・コール』には焦点をあててたのでチェケナです。

キャスティングディレクターにも拍手を送りたい。素晴らしいマッチングっぷりでした。これぞ配役の妙といったところ。ばっちりのキャスティングです。私がハリウッドで仕事をするとしたら、このキャスティングディレクターといった仕事に就きたいです。それは前からそう思ってます。もちろん監督の意向やプロデューサーの意向なども反映されてるんでしょうけれど、コーディネーターをするのは、多分、キャスティングディレクターなんですよねー。やってみたいなあ。もし、自分がアメリカ人だったら大学で映画関係の学科を専攻してたと思うなあ。あちらは演劇、映画関係の学科、普通の大学でも充実してますものね。いいなあ。

さあ、俳優さんを中心に物語を追い掛けてみましょう。公式スチールと、私がキャプチャーしたものが混在しています。どうしてもポールファンですから、ポールの写真が多いのは御了承願いますわ。足りない部分は言葉で補っていきますね。でも、言い訳じゃないんですが、本当に登場した全員が素晴らしい役者さんばかりで、それぞれの見せ場をもっとキャプチャーしたかったのです。すごい量になってしまう為、断念しましたが。

ではスタートです☆


マンハッタンの素晴らしい眺めを有するビルの上空にある、投資会社のある一日が始まります。


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最初、ポールは普通の平社員(?)がいるようなデスクがある場所に座っているの。ポールの仕事上での、立ち位置がよくわからなかったよね。二度目で確実に把握したけど。

ある朝、オフィスが少し慌ただしい。監査みたいな人が入ってわらわらするんだけど、ポールは部下らしき人に「気にするな、仕事を続けろ」とアドバイスをする。

そう、この映画、上司と部下の物語でもあるんです。全員が上司と部下の繋がりで出来上がっていて(サラリーマンなんだから当たり前ではあるのだが)、一番下っ端の部下、その上、その上……と、次々と逆入れ子(逆マトリョーシカ)状態に披露されていく部分が鮮やか&艶やかで素晴らしかったです。サラリーマンが大好きな私にはたまらない映画でした。もちろん、ヒエラルキーをこれでもかと見せつけられるピラミッド構造でもあるんですが、非情な金融エクゼクティブ資質の人ばっかりと思ったら……人情もあり、先輩と後輩もあり、アメリカならではの、年下だけど自分より地位が上もあり……と、もう、見所満載。鼻息が荒くなりました。

エクゼクティブビジネスマン大好き!!(大興奮)

ポールは、朝の慌ただしい雰囲気にも冷静に対処してます。

監査みたいな人たちは、リストラ係員みたいな人たちで、リストラ対象の人に声をかけ、「今日付であなたはクビです」と言い放つのだった。このあたり、ものすごくシビアなアメリカ企業を感じるわ。これはこの映画に限ったことじゃなく、バブル時代のサクセスアメリカ映画でもよーく出てきた描写です。リアルなんだろうなあ。日本でも外資系は、そうなのかもしれませんが、やはり、なじめない光景です。

大量解雇の日だったのね。解雇対象は一人だけじゃない。大量の中の一人がこちら。


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エリク・デイル(スタンリー・トゥッチ)はリストラされてしまう。個室も与えられているほどの方でもバッサリ。その日のうちに(一時間もしないうちに!)追い出されるの。私物の整理だけ認められて、やりかけの仕事も誰にも引き継げません。携帯もすぐにアカウントを取り上げられて通じなくなる。もちろん私用の携帯も所持はしている設定なんですが、基本的にはビジネスに使っていた携帯で九割型、やりくりしてたんだろうなーといった感じなの。で、リストラされるに当たっての条件などもズビシと言われ、明日の朝までにその条件を呑むかどうか決めてくれと通告されてしまう。でも、オフィスを出るのは今すぐなのよー。シビアァアア! エリクさんは、リスク管理部門に所属していた為、機密事項を扱っているデリケートな仕事でした。だから、私物を片付ける時も、警備員付きになってしまいます。他の金融業界に情報を渡されては困るからでしょうね。うーんアメリカ。

仕事の机に家族の写真を飾って置くのも、まさにアメリカっぽいですよね。

そこへ、ウィル・エマーソンを演じるポール・ベタニーが訪ねてきます。ウィルという名前はすごく良かったですね。他の人からウィルと呼ばれるたびに私は悶えてました。そして電話などで「もしもし、ウィルだけど」というポールに鼻血が出た私です。だらりん。


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このポールのポーズ。ポールの十八番です。相手を牽制するというよりは、オーケー? 大丈夫か? といったジェスチャーです。もちろん、やんわりとした「落ち着けよ(牽制)」みたいな意味も含んでいるんでしょうけれど、エリクさんは、別に激高したりしてません。気落ちはしてるけどね。ここではポール演じるウィルとスタンリーさん演じるエリクのビジネス的立ち位置はわからなかったわ。ウィル(ポール・ベタニー)は最初のシーンで、普通のフロアにある机に座っていたせいで、個室を与えられているエリクが立場上かと思ってました。けれど、同期で入った同僚……みたいなね。そういう雰囲気も醸し出していたから。


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ポールはどうやら、人事に多少関係してるのかな。若干、人事系統に事情通っぽいんですよ。後で、ポールの役職は何かわかるんですが、それからすると特に人事部じゃないの。でも、人事部に知り合いというか仲良しがいるのかもですねー。というのも、エリクさんは「俺の解雇に絡んでいるのは誰なんだ? ○○か?」などと、ポールに質問するの。ポールは「言えるわけないだろ?」(……この台詞を言うってことは、実際には事情を知ってるわけね)なんて言うのよね。で、エリクさんが、ある人の名前を出すんだけど、ポールは思わず黙っちゃうの。それでその人がエリクさんの解雇に関与してるんだな――とわかってしまう。だけど、どうしょうもないんですよ。ポールも「俺も何もしてあげられなくて…すまない」なんて謝るし。エリクさんも、諦めてそれほどは怒りません。「お前のせいじゃないさ」と、ポールに言ったりもしてたかな。

で、ウィル(ポール)はサクッと「幸運を!」といって部屋を出て行きます。グッドラック!

しかし、エリクさんはどうしても引き継ぎをしたい仕事が残っているようです。


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解雇されたエリク直属の部下はこの二人。ボスが解雇されて呆然とする二人です。左はピーター・サリヴァンを演じたザカリー・クイントさん。右、セス・ブレッグマンを演じたペン・バッジリーさん。 この二人も、性格が全く違い、その特徴が演出によってうまく表現されて、素晴らしかったです。まさにファービュラス。ある意味、若手の主役はピーターを演じたザカリーさんでしたね。

二人の性格は上司であるエリクとの挨拶でもくっきりわかります。ダンボール箱を持ったボスを見送る二人。エレベーターホールの前で、セス(ペン・バッジリー)さんはまずこう声をかけるのだもの「ボス、人事は俺たちのことは何かいってましたか?」 まずそれだもの。失礼だもの。 彼の性格付けはわかりやすくて面白かったです。上の写真でいうと右の人ね。会社に入って一年くらいの新入社員。他人の給与額と、クビにされるかされないか、が、気になって仕方ないエリートサラリーマンなわけ。弱気というよりは、ミーハーっぽい雰囲気かな。でも、そんなに嫌な奴ではないんですよ。それは観ているとわかります。けれど、ボスが去るというのに、慰めの言葉をかけず、「俺たちもクビですか?」っていうことを聞いちゃう失礼な若手なんだけどね。すぐに、先輩格のピーター(ザカリー・クイント)に、「ジーザス!何てことを聞くんだ」なんて言われてたけど。


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そう、ピーター演じるザカリーさんは、金融業界を選んでおきながら、ボス達の法外な報酬に「狂ってる!」と感じる良識的な人を演じています。でも、正直にお金に魅力があってこの会社に入ってきました――と、後の場面で答えるところも出てきます。温和でいい感じのサラリーマンとして彼は活躍します。そういえば、ザカリー・クイントさんは、実生活でカミングアウトしたばかりですよね。確か『マージン・コール』のプレミアしてた時期にカミングアウトしたはず。私、その時は、まだザカリーさんの作品を観てなかったんですが、先日、海外ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』を観ていたら、彼が出演していた! インテリアデザイナーのわかりやすいオネエ系なキャラで出ていました! 特に彼のセクシャリティーを知ってなかったとしても、インテリアデザイナーの役はピッタリだったよ! そして『マージン・コール』での誠実そうな役もぴったり。役者さんってすごいなあ。彼は相当に濃い顔ですけどね。まゆげも濃いし、腕の毛もすごい。けれど、何だか爽やかな雰囲気なの。イーライ・ロス監督に顔が似ているよね。『イングロリアス・バスターズ』にもイーライ・ロスは役者として出ていたけれど。彼に似ている……。

映画に戻りますが、解雇される上司エリクとエレベーターで別れる直前にUSBメモリーを渡されるのはピーター(ザカリー・クイント)なのでした。重要なデータを託される。そうそう、別れの言葉もピーターはちゃんと上司に述べてたよね。

その渡す時には、給与が気になって仕方ない若手社員はいなかった。彼はさっさと席に戻ってしまってました。でも、ボスには「幸運を!」といって去っていったよ。

物語が進むとまた解雇される人が出てくるんです。その時は別の人たちなんですが、「幸運を!」という言葉を言われていたよ。解雇された時はみんなこう挨拶するのか!去る人に向かって言うわけだ。映画って会話の勉強になるね。私はいつも叫んでいるように、英語をしゃべれないけどね!

ここで、いよいよケヴィン・スペイシーの登場です。サム・ロジャースという、魅力的な人物を演じます。


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ケヴィン・スペイシーは、はっきりいって最高に演技上手です。まさに役者。役者魂を炸裂させてる人は上手だけど、くどいイメージもつきまとっちゃうと思うの。しかし、ケヴィン・スペイシーは上手にそのくどさを相殺させてるタイプだと思うなあ。今回、この作品に出演した役者さん、全員演技が素晴らしかったけど、ケヴィン・スペイシーは頭一つ抜きんでていると感銘を受けました。表情で全てを語れるタイプですし、ジェスチャーも台詞の言い回しも最高です。そんなに派手な役柄では今回ないのですが、しかし、彼の名前がクレジットでもトップなように、彼の物語でもありました。ケヴィンに男子として惚れたことはないけれど、いつも観るたびに上手だなあと舌を巻いてます。にょろーん。といってもそれほど彼の作品を本数多く観てるわけじゃないんですけどね☆ 

サム(ケヴィン・スペイシー)はポールの上司として登場します。ほらここで、逆入れ子(?)現象が花開いていきます。朝、個室のオフィスでサム(ケヴィン・スペイシー)は、何故か涙ぐんでるんですよ。まさか大量解雇された部下を思って……?


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ウィル(ポール・ベタニー)が、サムの部屋を訪れて様子を訪ねます。「禁煙ガムでもどうですか?」と。 で、涙ぐんで沈んでいるサムに気付くウィル(ポール・ベタニー)なんですよ。きゅーん☆ ここで注目すべき会話は、ウィルが上司のサムに「平気ですか?」と聞くと、サムが「俺の犬がもう駄目みたいなんだ。一日の治療に千ドルもかけてたのに!」と泣き怒りするの。

このシーンからでもエクゼクティブっぷりが見て取れますよね。その金額をかけられるほどのサラリーを、もらってるんですよ。一日で千ドルですよ? 普通のサラリーマンには払えません。サムの発言はこうやって書くと、金持ち特有の嫌らしい台詞に聞こえちゃうかもですが、サム本人はそういう人じゃないんです。相当に敏腕な腕前の人なんだけど、所謂、良識派系の人なのね。もちろん、シビアな決定を下してきたからこそ、腕をかわれてずーっと何十年もクビにならずに過ごしてきたんだろうけれど。でも、もっとシビアだったら……という描写が後でちゃんと出てくるんですよ。そのあたりすごく上手な演出でした。

ここのシーン良かったですよねー。ウィル(ポール・ベタニー)は、上司のワンワンに対する情熱に引き気味になるんですよ。表情でちゃんとそれがわかるんです。さすがポールです。彼も本当に上手。そして、ウィル(ポール・ベタニー)は、沈鬱なムードを払拭するように、大変上手に話題を切り替えます。「ボス、解雇の通達は終わりましたよ」と、するとサム(ケヴィン・スペイシー)は、仕事モードになり、部内のみんなを集めるようにウィルに言うのだったかな。で、ウィル(ポール・ベタニー)がみんなを集めるジェスチャーが最高なんですよ!! そのジェスチャーは後にも出てきますから、その時に☆

サムは残された部下に(クビにならなかった部下達)、鼓舞するようなスピーチを行い、金融な一日が始まの。

そして夜になるのね。

解雇されなかったハッピーな状態を祝う為、社員達はそれぞれ夜の街に繰り出す。クラブに行ったり、バーに行ったり。

あの二人の若手社員、ピーター(ザカリー・クイント)とセス(ペン・バッジリー)は、どうしたかというと――人の給与明細が気になる若いセスは飲み屋へとピーターを誘います。ピーターの方が年上のようなんだけど、役職がまだ二人ともついてないせいか、平社員としてフレンドリーな付き合い方。

しかし、ピーターは残業するとセスに告げます。そんなに浮ついてないタイプなんですよピーターさん。こんな日くらい来いよ!と誘われるんだけど、その場では断って、後から行くよと返事をするのね。

で、ピーター(ザカリーさん)は自分の仕事をし始める。――この夜のオフィスがまたいいんですよー。ピーターさんは平社員だけど、たまたま窓際の席なの。で、マンハッタンの夜景が一望できるのであった。――朝、解雇された上司エリクに託されたUSBメモリーを、ふと、チェックしてみる気になるピーター。

で、その残されたデータを自分なりに解析しているうちに……大変な状況に気付いてしまいます。でも、大げさな演技じゃないのよ。そう、映画全体的に大げさに「ばあああああああああん」みたいな効果音が鳴り響いて、ウォール街の危機!! といった煽りはしないの。でも、その控えめな演出が秀逸☆ グン☆バツ

ピーターさんは、まず、解雇された上司エリクに電話をします。しかし、解雇された直後に携帯を解約されている為、繋がりません。私物の携帯にも繋がらないようです。しかし、誰かに伝えないと。そして飲みに誘ってくれていた若手社員セス(ペン・バッジリー)さんに電話をする。ここのやりとりも、いいよね。ここで、ウィル(ポール・ベタニー)の立ち位置が徐々にはっきりします。

ピーターはウィル(ポール・ベタニー)をオフィスに戻したいのでした。大変だから来てくれと。部署の仲間で飲みに行ってるだろうから、まだ同じクラブ(バー)にいるだろうと、ふんだのね。で、若いセスに「ウィルと一緒にオフィスに戻ってきてくれ」と頼むわけ。


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ここでセス(ペン・バッジリー)さんの、この発言。「上司の上司を呼び出すだって?」 なるほど……解雇された上司エリクの上司がウィル(ポール)だったのね! と私はここで地位を把握した。だけど、エリクに個室が与えられていたのに、何故、ウィルには個室が与えられてないのかなーと、まだ不思議な気持ちでいたんですけど。


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ピーター(ザカリー・クイント)さんは、セスの嘆きにこう切り返します。「エリクがいなくなったんだから、ウィルが俺たちの直属の上司だろ?ってことは緊急の呼び出しをウィルにするのは当たり前だろ?」的なニュアンス。 

鼻血です。この上司と部下関係に鼻血です。で、ウィル(ポール・ベタニー)は先ほど御紹介したサム(ケヴィン・スペイシー)の部下なんですから。もう大変な鼻血。上司がいるから部下がいる。平社員がいるから上がいる。たまりません!!サラリーマン最高! 日本ほど上下関係はないんじゃないの?といったイメージを、アメリカ企業に対して持っていましたが、それでも明確な上下関係がこれでもかと出てくるの。確かに名前の呼び方なんかは、フリーダムよ? 上司にミスターなんてつけてないですよ。みんな名前で呼び合ってるからフリーダムっぽいのよね。ラフではあるけど、上下関係はばっちりありますの。上司の前では平社員は緊張する場面もあるんです。

これも、面白いんですが、直属の上司くらいだと、年齢もそう差はない場合もあるせいか、フレンドリーに話し合いなどをして、それほど部下も緊張したりしてないの。その一つ上の上司が出てきたりすると、多少緊張が走るんですよねー。つまり、解雇されたエリクもウィル(ポール・ベタニー)の部下では、あったんだけど、その二人の間は同期の桜っぽいフレンドリーを感じましたのよ。で、上の上司になるほど、雲の上の存在になるのか、意外と上司の上司の上司が誰かまで把握してなかったりするんですよ平社員どもは。これは映画だから、そういう演出にしたのかもしれません。上司の上司の上司くらい上になると、平社員とその上の上の上の上司の接点は皆無になるんでしょうな。そういった描写も出てきます。それもまた鼻血。

アメリカにおける、会社上下関係雰囲気が楽しめて眼福率マックスでした。サラリーマン構造が好きな私には本当にたまらん映画なのであった。ふがふがふが。


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映画に戻ります。酒場にいた若手社員セスは、仕方なくウィル(ポール・ベタニー)を探すの。で、ウィルは、他の若手社員を前にすごーく楽しそうに喋りまくってるんですよ! そして周りの若手社員も、ものすごく楽しそうなの。あああああああああ。ポールの働くオフィスで部下をやってみたいですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。うおおおおおおおおおお。それか、後で出てくるんですが、ウィル(ポール)が上司を大事に思っている気持ち……などもすごくツボなんです。ポールの上司でもいいかもしれない!犬みたいにポールは忠実よ。上司であるサム(ケヴィン・スペイシー)を頼るの。もんのすごい鼻血シーン続出です。

地味な映画だけど、私は『プリースト』を鑑賞した時とは比べものにならない、数億倍の血を体内から放出させてました。

ポールは忠実なワンワンも演じられますよ。ワンワン。

可愛いよー。

ワンワン。

素敵だよー。

ワンワン。

ふんふん(鼻息)。

酔っ払ったセスとウィルは、オフィスに戻ります。真面目なピーターに「この点数稼ぎめ」などと上機嫌に毒舌しながら、部屋に入ってくるの。


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陽気な二人に、ピーターは説明し始める。飲んできた二人はそんなすぐには頭が切り替わらない。しかも、二人ともオフィスに酒瓶を持ってきちゃってるし。飲んでるし。瓶を紙袋に包んだまま飲む――この形式、たまにアメリカ映画で見かけますよね。日本にはない風習じゃないの? 紙袋にこうやってラフに包んでもらうっていうのも、日本じゃそんなにはないかもね。紙を外して飲んだってもいいのでしょうが、袋をねじって落ちないようにして、飲んでるの。


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まだウィル(ポール)はラッパ飲み。そして若手社員セス君も、机の上には置いたけど、紙袋入りの酒を所持してるのがわかりますよね。セス君はこの後も飲み続けてた。違う場所に移動するんだけど、そこでも飲んでたよ。

陽気な二人も、ピーターが示す資料の結果に、動揺を隠せなくなります。直属の上司となったウィル(ポール・ベタニー)は、途端にビジネスの顔になり、ピーターに向かって、「この資料はお前と解雇された上司エリク以外に見た奴はいるか?」と問いかけます。ピーターは、「エリクと、今ここにいる俺たち以外には、誰にも知らせてません」と答える。

エリクに連絡がとれないとわかると、ウィル(ポール)は、エリクの自宅に電話かけるのです。この電話のやりとりも、電話応対英語がわかって勉強になりますよね。ポールの話す英語はさすがのイギリス英語でわかりやすいと思うんですが、ニューヨーカーという設定だから、ニューヨーカー訛りを忠実に再現したりしてるのかしら。当然、アメリカン風な言い方には、してるんでしょうけどねー。ポール自身も、結婚してからずっとニューヨーク住まいになってるし。そういう英語ニュアンスは英語の達人に解読をおまかせします!(他力本願)

解雇されたエリクは自宅にも戻ってません。自宅には奥さんがいました。もう夜中をすぎているのに、帰ってないようです。それで、ウィル(ポール・ベタニー)は、すぐにメモ帳に、とあるバーの名前を書き、若手二人にそのメモを渡し、「エリクはこの店にいるかもしれないから、連れ戻してくれ」と命令を下すのでした。車は手配しておくから下に行って車を待て……みたいになるのです。格好いいポール!

エリクを連れ戻す間にウィルは何をするかというと――、もちろん今度は自分の上司をオフィスに呼び出すのです。帰宅途中のサム(ケヴィン・スペイシー)を呼び戻す電話をかけます。サムは動物病院に寄ってグッタリしているワンワンに涙した後、車に乗っている状態です。ウィルの電話に「こんな真夜中にオフィスに呼び戻すのか?」と、困惑しますが、ウィルは先ほどのピーターと同じ状態で、とにかく大変だから戻ってと、サムに訴えるのでした。


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戻ってきたサム(ケヴィン・スペイシー)に自分がされたと同じように説明するウィル(ポール・ベタニー)。説明しているポールの顔はどれも素敵でショットに迷ったんですが、ちらっとポール自身の癖である、舌で唇を舐める仕草が出ていたのね。そこをミラクルショットしました!ふふふふふふ。さりげない癖だけど可愛いですよねー。ポールの癖をキャッチアップ!

一回目に鑑賞した時は、この個室は上司サムの個室だと思ってしまいました。サムの個室で情報を展開しつつ(パソコンのモニターに映し出し)、説明しているのかと。でも、ここがウィル(ポール・ベタニー)の個室だったようだわ。 後から出てくる別のシーンでは、もっとポールの個室状態がわかるのです。そこで、「ああ、そうだわよね。部下のエリクだって個室を持っていたんだから、ポールが持ってないわけないわね」と、認識しました。

上司サムも事の重大さを理解します。そして、「この資料を作った若手はどこだ?」とウィルに聞く。「ピーターともう一人はエリクを探しに行かせてますけど?」とウィルは答えます。「すぐに戻ってくるように言え」とサムに指示されるのでした。


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エリクをのんびりムードで探している二人。車内でたわいもない会話をしています。ただ、先ほどの資料によると、とてつもない経済危機がおこる事態になるわけで、外に歩いている人の生活が変わるかもな……みたいなムードにはなってます。しかし、お金の話が大好きな若手社員セス(左の人)は、ピーター(右の人)に社員の給料話を繰り広げ始めるのであった。「ウィル(ポール・ベタニー)の給料が幾らか知ってるか?」などとピーターに問いかけるのよ。ピーターは適当に答えるんだけど、一桁違うと言われて仰天しているシーンです。「ウィルレベルで、250万ドルだぜ」と、若手セスに言われて「ジーザス!狂ってる!」ってなるんです。これは上司であるウィル(ピーター)をバカにしているわけじゃなく、金融業界の給与体系のクレイジーさに呆れるっていう話なんですよ。で、ピーターはセスに「お前どうしてそんなの知ってるんだ?」と聞くの。するとセスは「ウィルは気楽に答えてくれたよ」と言うのだった。

気さくなウィル! こういった本人が出てない場面で、そのキャラの性格を示すというのも、大切な手法です。聞けば答えてくれるフリーダムな上司なんだな♪ というのがわかります。ウィル(ポール・ベタニー)の人となりがわかるシーンですね。そして、そういうのをまたズケズケと聞いちゃうセス君の性格もより露呈するの。「上司の上司を呼び出すなんて!」と、酒場では文句を言いながらも上司の上司に直接、年俸を聞いちゃってるわけですからね……。セス君ってば!

この後、二人はエリクが行き着けらしい、バー(ストリップバー)に行ってカウンターでちゃっかり酒を飲むの。途中、ウィル(ポール・ベタニー)から社に戻ってくるように言われて、戻ります。

ビルに戻り、オフィスがある階で降りようとすると、サム(ケヴィン・スペイシー)とウィル(ポール・ベタニー)が乗り込んでくる。そして上の階に、ついてこい――ってなるわけ。で、そのままぽかーんと、なすがままの若手社員二人。サラリーマンストーリー最高っす。もぐもぐもぐ。


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目的の階に到着。ウィルはエレベーターから降りる時に、アフターファイブで、既にネクタイがゆるまっていたピーターに、タイを締めろ……とジェスチャーで指示を飛ばします。ウィルは当然ネクタイは既にビシッとしておりました。


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慌てて、タイを正す可愛いピーター君。素直な部下は優秀の証です。給与話大好きセス君は、タイさえも、既にどっかいっちまって、しかもシャツのボタン二つ以上開いてしまってだらしない状態なの。しかも、ここでもまだセス君は酒瓶を持っていたのでした。このあたりの処理方法は、映画で御確認くださいませ☆

二人とも、どこに連れていかれるかわかってない状態です。

とあるミニ会議室にバーンと入っていく上司二人と若手二人。すると、デミ・ムーア姐御演じるエクゼクティブキャリアウーマンなサラ・ロバートソンや、会社の顧問弁護士、そしてもう一人、偉い人が座る席に男性が一人座っております。


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で、深夜緊急会議を始めるのですが、ここでポールの役職がやっとわかります。そして上司の上司は下っ端部下の名前なんぞ覚えてないんだな――というのがよくわかるわよ。ポールは若手二人の名前はさすがに把握してるんですが、サム(ケヴィン・スペイシー)は若手二人の名前なんぞ知らない状態なわけ。そういうのすごく面白いです。エクゼクティブ姐御や、もっと偉い人などは、下っ端部下の名前も顔も当然知らないんですよー。

サムがウィル以下を紹介してるってことは、サムより上の上司は、ウィルレベルくらいが……ぎりぎり理解してるかしてないかの人事なんでしょうなあ。ウィルは取引管理部門。つまり、実際に証券取引などをする実働部隊の部長なんです。その描写は後の方でよくわかりますよ。そして、若手二人はリスク管理部門の平社員だったの。リスク管理部門の部長が解雇されたエリクだったのよ。そのリスク管理部門の上が取引管理部門だったようですぞ。だから、ウィルが実質上の上司になるの。その上がサムになると。

ここで、デミ・ムーア姐御の写真はキャプチャーしなかったんですけど(ごめんね姐御……)、姐御もかなりの凄腕ビジネスウーマン設定で、今朝の大量解雇にも当然関わっていました。エリクのクビを飛ばしたのも彼女なんです。でも性格的に嫌な女性ではないの。仕事としてやっただけで、感情うんぬんでクビを飛ばしているなんて馬鹿な振る舞いはしていません。ちなみに、今朝のエリクとウィルの解雇にまつわる会話で、姐御によってクビを切られた……というのはエリクにはわかってしまうのね。あのクソアマ!みたいには、なってました<エリク 信頼したのがバカだった!とも言ってたわよね。

解雇されたエリクは、デミ・ムーア姐御に、「どうやら、大変なことになるかもしれないぞ……」と進言してたらしいの。そして、姐御は、もう一人の偉い人(この後、紹介します)と、社長に直接ちゃんと言ってたらしいのよね。金融危機が起きますよと……。ただ、エリクが分析していた資料がまだ完璧ではなかった為、そして、その資料をデミ・ムーア姐御や、もう一人の偉い人は解読できなかった。だから、確実な予測は立てられなかったのでした。

それをピーター君が完璧な資料に仕上げたわけで、サラ・ロバートソン(デミ・ムーア)としては、資料のうんぬんより、ピーター君のプロフィールを面接し始めるのよ。「あなた、大学は何を専攻してたの!?」みたいなのを急に言い出すのよね。ピーター君は始終、謙遜モードで、「この資料の殆どは上司であるエリクが作ったもので、僕はまとめただけなんです」と謙虚な態度。そして大学の質問をされたから答えるんだけど、航空力学を研究してた学部だったらしいのよ。それはこの後も他の人に面白がられるんだけどね。で、数字には強いから、今回の計算もできた――といったニュアンスのことも告げます。姐御に「科学者なあなたが、何故この会社に?」と言われた時も素直に「正直いって給与面で魅力的だったから」と言うの。

突然始まった面接っぽい雰囲気なんだけど、みんなそれほど嫌悪感を抱かず聞いています。

金融ってアメリカじゃ大学で経済をマスターしてる人が多いのかしらね。当然それが王道なんでしょうけど、数字的なシステムを組んだりするのには、理数系の人もたくさんいるとは思うんだけど。確かに航空力学系の人は少ないかもしれませんなー。

そして、この人の登場です。逆入れ子現象勃発。


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やり手の冷酷金融エクゼクティブ、ジャレッド・コーエンを演じたサイモン・ベイカーさん。シルベスター・スターロンに負けず劣らずの垂れ目っぷりですが、その愛嬌ある顔が、冷酷な判断をするのだから逆に凄みが増しますよね。別に殺し屋集団ってわけじゃありませんから、冷酷っていっても、ビジネス的にクールってなだけです。

「あいつは凄腕のゴルゴだ!」

それの金融バージョン。

金の為なら犠牲者が出たって構わない(死人は困る)。そんな体質なんでしょうね。でも、金を稼ぐ会社なのですから、それは正しいのです。違法行為をしてるわけじゃないですし。そのあたりは、社のルールとしても何度か出てきます。違法はよろしくない!といったルールはあるわけよ。

冷徹ジャレッドは、さすがの貫禄で、彼が何かを言い出すと圧倒的な感じはありました。「今は何時だ?」と周りの人に聞いて、真夜中の二時だか三時だか(どっちか忘れましたが、そんな時間)と誰かが答えると「ふぁっく!こんな時間かふぁっく!」みたいになるのよ。静かにいらだってる感じ。

一番、ふぁっきんを会話に挟んでいたのはポール・ベタニーでしたけどね(笑)。もちろん、上司に何かを伝えたりする場合は礼儀正しく会話してましたし、この会議ではそんな発言はしてません。若手社員とのお気楽会話では、ふぁっくふぁっくと気楽に挟んでましたよ。ポールの十八番ですね。私生活でも結構挟んで会話してるタイプだものねポール♪

それにしても、ジャレッド(サイモン・ベイカー)のエクゼクティブっぷりは、持っている小物からして違うもの。若手は若手らしく、それなりのスーツは着ているんだろうけど(平社員とはいえ、他の業界に比べてもサラリーはもらってるのだろうし)、上の地位にいくほどいいスーツを着てました。デザイン的にはもちろん流行のラインを着てる人、スタンダードな人と、わかれてはいましたけど、生地の風合いが違いますよね。それはDVDで観ていてもわかったよ。ウィル(ポール・ベタニー)はいいスーツを着てました。サム(ケヴィン・スペイシー)もスタンダードながらいいスーツでしたけど、彼自身それほど、装飾品や何かに興味がないせいか、持っている小物に金持ちらしさは感じなかったわね。でも、よくチェックすれば、良い品物を所持してたのかもしれない。車のステイタスも、多分、わかる人が見れば、わかるのであろう。

で、ジャレッド・コーエンさんは、時計ブランドに疎い私でもわかるような高級品を身につけていたし、上で御紹介した写真では、細かいデザインは、わからないかもしれませんが、すごくデザインされた指輪をしてるんですよ。コーエンさん(サイモン・ベイカー)ってば。ベルトをイメージしたデザインの指輪だと思うのです。多分どこかのブランド品でしょ? それこそカルティエあたりのラインじゃないのか?エルメスとか……そのへんでしょきっと。シンプルな結婚指輪をしている人はいても、デザイン系の指輪をしてる人は少ないものね男性だと。自営業で派手な職種なら、いらっしゃるでしょう。しかし、サラリーマンだと、さすがのアメリカでも、そんなにデコラティブなデザインをしていたら違和感があるだろう。だから、ぎりぎりのラインで。でも地位が高いからこそ許されるブランド系指輪をする男。それがジャレッド・コーエン(サイモン・ベイカー)だ。

そんなメッセージを指輪から勝手に受け取った私です(電波ゆんゆん)。

ジャレッドはサム(ケヴィン・スペイシー)に対しても威圧的なんだけど、サムは負けてません。それなりに応戦し始めたところで、ジャレッドはウィル以下の若手を部屋から出します。より重要な話をする――といった雰囲気になるの。

部屋を出されたウィルと若手二人。給与明細が気になる男、セス君はウィルに「あの男はいったい何なんです?」と文句を言います。ジャレッドの態度が気にくわなかったんでしょうね。「サムの上司だよ」と、あっさりウィル(ポール・ベタニー)は伝えます。「部屋の中で彼らは何を話し合うんですか?」と部下にまた聞かれます。「冷酷な話をするのさ」と、これまたウィルは答えるのでした。そして、ジャレッド・コーエンの年齢を二人に告げ、それでまた二人はびっくりするのです。40歳で、重役クラスなんですから。サム(ケヴィン・スペイシー)より年が若いのに、成功して、キャリアを伸ばしている男。それがジャレッド・コーエンなのでした。そしてウィルも「俺は乗り遅れたけどな」とも言ってました。つまり超ハイパー出世コースには行けなかったけど……といったニュアンスなのよねー。でも、ポールが演じたウィルは、それなりに処世術は、うまくこなせてるっていうキャラだと思うの。人事部じゃないのに、人事に詳しかったり、仕事もできるみたいなんですよ。ただ、系統的にこのまま会社にいられたとしても、サム(ケヴィン・スペイシー)系の居残り方なんじゃないかしらね。サムも、上と対立するタイプなんだけど、ずっと首を切られず居続けられてるでしょ? そう、このあたりも外資系ならではだと思うの。多少、反抗精神があっても、会社にとって利益を生むのなら大切な人材とみなされるのよ。決してイエスマンばかりを揃えているんじゃないのよね。その流れは最後までみているとよくわかる仕組みになってます。

とにかく、ジャレッド・コーエンは飛び抜けて敏腕で冷酷な切れ者なの。

しかし、そのジャレッドさえも、別に会社のトップじゃない。先ほどのミニ会議で確かジャレッドとサムは二人きりになる。サム「どうするんだ?彼に知らせるのか?」 ジャレッド「もう連絡した」 と、静かにやりとりするシーンがあるんです。

彼とは誰なのかしらね。ついに彼に知らせたか……そうするしかないだろう……といった重い雰囲気。

で、その間、ウィルと若手二人は、ビルの屋上に息抜き(?)をしにいくのです。ここ最高よ♪


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ウィルは冒頭、上司のサムに禁煙ガムを勧めていた時から、自分も禁煙ガムを食べ続けていました。禁煙に挑戦してるみたいなんです。でも、息抜きにはやっぱり煙草を吸っちゃいます。久しぶりにポールの喫煙シーンを観た気がするよ。そして超絶似合う。喫煙モードのポールはやっぱりまぶしいわああ。

ここで、ウィル(ポール・ベタニー)は厭世的で哲学的なそれでいてスノッブな話をしていたわよね。可愛い。急に手すりにのっかって危ない行為をすると、後輩二人が「ウィル、ウィル……やめてください。危ないですよ。いいからおりて」なんて慌てて止めるのよ。すごく萌えた……。吐血ドハアアアアア! すごくウィルウィル言われてるんだもの後輩から……。後輩がうろたえていたもの。 鼻血シーンの一つでしたなあ。ウィルのやんちゃ行為は、男子からしたらタマヒュンでありましょう。タマが縮まる……っていう表現あるじゃない? それをネット男子が生み出したんでしょうけど、どこかで「たまひゅんっ……となる画像集」といった内容で面白くまとめた記事があったのよ。そうかタマがきゅーん……じゃなくて、まさに高いところでタマがひゅんひゅんとする……といった表現をたまひゅん…と今は言うみたいですよ(笑)。このフレーズ、かなり気に入ってしまったのね。で、その時、文字アートで、☆彡★彡というのを見かけたから、改造して ω彡 として最近使ってます。まさに、たまひゅんでしょ? ひゅんひゅん ω彡ω彡


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手で相手を制止するっぽいジェスチャーも、ポールがよくやってる癖の一つですよね。実際には相手を制止しているわけじゃないんですが。手のジェスチャーっていうのは、外人特有だよね。最近、邦画をそれほど観てないから日本映画におけるソレが思い浮かばないんだけど、やっぱり静と動と区別するとすれば、邦画は静な美で、欧米映画は躍動感あるきらめきが多発してると感じます。もちろんどちらがいいという話じゃありませんYO☆


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給与明細が気になるセスではなく、真面目君なピーター(ザカリー・クイント)が、ウィル(ポール・ベタニー)に、「あなた、本当に250万ドルの年俸なの?」と聞くんですが、それに正直にウィルは答えるのです。「そんなにもらって使う暇ある?」とも質問される。細かい内訳さえも、ウィルは気さくに答えてくれるのよねー。まず、半分は税金でもっていかれて……家のローン、車のローン、親への仕送り(キャプチャーした場面)、洋服代、交際費……と、コミカルに答えていくのです。40万ドルは貯蓄に、まわしているともいっていた。「だって先行きわからないだろ?」と、いざというときの蓄えもきっちりやっている、ウィルなのでした♪

あ、それと日本語字幕英語喋りバージョンだと、わからなかったんですが、吹き替え版で観ると、このシーンでウィルの勤続年数が10年目だというのがわかるのよ。そう、吹き替え版で観るとまた違ったニュアンスで会話したりしてるので、字幕版でわからなかった要素が、吹き替え版で理解できたりする場合もありますねー。逆もまたしかり。三度目の楽しみとしては、吹き替え版で観つつ、字幕を出しながらがベターでしょうな。違いがわかるし、きっと字幕では表現しきれなかった台詞が吹き替えだと饒舌になってたりね。ほら、字幕はどうしても制限があるから。でも、吹き替えだと会話すぎてわからないニュアンスも、字幕だと、字ではっきりと表れているからわかりやすい場合もあるしね。ファンなら両方攻めようぜ!いえい!

与太話をしていると、上空からヘリが降りてきます。ウィルは楽しそうに「さあ、救世主の御登場だ!」と叫ぶのでありました。

さあ、いよいよですぞー!

若手が世間話をしている間、上層部はそれなりに深刻に話し合っていました。コーエン(サイモン・ベイカー)と、サラ・ロバートソン(デミ・ムーア)は、一年ほど前にこのような事態になると話し合いをしたらしいのです。それを既に一度トップには話を伝えていたのに……こんなになって。サラ(デミ・ムーア)は「私たちのせいね(もっとシビアに話し合うべきだったし、対処すべきだった)」と、コーエンに告げるのですが、コーエンは「私たち? 君のせいだろ?」と、冷酷に言い放ちますのよ。で、それを聞いていたサム(ケヴィン・スペイシー)は、部屋を出て行こうとするのです。すると、コーエンは「君も聞いていてくれ」と引き留めます。しかし、サムは「もう聞き飽きたのでね」みたいに皮肉を言って出て行くのでした。で、コーエンとサラは、どうするの?みたいな会話をするの。破綻の可能性をもう隠しようがないってね。「市場へ? それともトゥルドへ?」とコーエンはサラに聞きつつ自問自答みたいになるんだけど、サラは「両方へよ」と沈鬱な表情で答える。

トゥルドって何かしらね。市場に知られるのと困るくらいの人物とは……。

そして、コーエンとサラはまた違う会議室へと向かって行くのでした。

その途中、屋上から降りてきた若手三人組と出会います。

ウィル「今、トゥルドのヘリが?」と、ジャレッド・コーエンに問いかけた途端、コーエンはお前らも一緒に来いと、命令するのでした。


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そして、歩いている途中で、コーエンが、三人にアドバイスをします。「いくら険悪になってもごまかさず真実だけを話せ」と。ごまかしを言っても無駄だぞ、威勢も張るなよ?……といった感じ。相当の強者が登場したのでありましょう。会議室には既に上司のサムは到着してました。 それにしても、壁に寄りかかってコーエンの話を聞く、ビッグ態度なポールが可愛いですね♪

そして、深刻な会議が始まります。会社のトップ経営者ジョン・トゥルド(ジェレミー・アイアンズ)がいよいよ登場したわけです。頂点の人がここでバーンと出てくるの。で、カリスマ経営者らしく、気さくな雰囲気なんです。だけど、みんな緊張しまくってます。ジャレッド・コーエンでさえも、顔がこわばっているし、緊張感が伝わります。ジャレッドが何か言おうとしてジョン(ジェレミー・アイアンズ)に制止されると、ジャレッドはすぐに喋るのをやめます。先ほど、ミニ会議をした時、ジャレッド・コーエンはその会議の支配権を握っていましたが、ここは舵にさえ触らせてもらえません。この会議(船)を動かしているのは経営者のジョン・トゥルド(ジェレミー・アイアンズ)なのです。素晴らしきこの構造。どんどんと上の組織がお目見えしていくっていうのは、華々しくていいですよね。登場の仕方からして違うもの。自宅からヘリでくるんですよ!? アメリカの成功者は桁が違うような気がしますよ。


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気さくで柔らかいモードだからこそ、逆に怖いカリスマ経営者。ジェレミー・アイアンズにうってつけの役柄ともいえましょう。

でも、今回、どの役でもきっと全てを、うまくこなすだろうなあと思ったのはケヴィン・スペイシーだわね。ケヴィンは年齢さえ考慮しなければ、若手からトップまで……どの役柄でもこなせたと思う。カリスマ経営者だって、冷酷な華やか若手重役だって、見事に演じただろうなと思うのでした。もちろん、他の役者さんも全員上手だから、立ち回りはできるでしょう。でも、ジェレミーが、サムの役をやるのはどうもピンとこないものね。まあ、年のあれもあるけれど。ジェレミーは今回、経営者でマッチングでしょう。

ジェレミーみたいな美麗ロマンス経営者が会社にいたら、みんなやる気でるもの。女子なんか女子力が十倍にあがるもの。違うもの。カリスマが美麗ってだけで違うもの。ジェレミーも小指に洒落た指輪をはめてたわよ!カリスマ!

というわけで、ジェレミーの魅力で、この会社は巨大化していったわけですな。よくわかります(美麗ビーム)。

ジェレミーは今回の問題をピックアップして資料を提示したピーター君(ザカリー・クイント)に説明をするように求めます。ソフトにね♪ その時にも、「説明は犬や子供にわかるように話してくれよ? 私の武器は知力ではないのでね」とソフトに言い放つの。そのあたりも、上手な設定ですよね。私の武器は脳味噌とは別にあるのでね――吹き替え版だとそう言い放ってました。つまり、カリスマですよね。ピーター君の前にジャレッドが説明し始めるんですが、「資料の~ページの数値を……」と言った途端に、カリスマ経営者トゥルドは、けんもほろろに、そのまどろっこしい説明を阻止します。もっと簡潔に言えと求めるのね。ここも、経営者の性格を上手に表しているよね。ベタだけどこういうの大事。大ざっぱに、だけど簡潔に要点を知りたいだけなのよね経営者は。細かいきっちりしたデータは、もちろんとっておくべきなんでしょうけど、それをするのはお前らの仕事で、俺は結果報告を簡潔に知りたいだけなんだ! ってことなのよ。

当然だわね。経営者トップだものね。全ての細かい数値を毎日知っている必要はないわけ。だけど、知りたくなったら、すぐにそのデータは知りたいのよね。だから下々のものは、きっちり、かっきり、やっておかないといけないわけだ。それは当たり前の状態なのよね。

で、会議に戻ります。

ピーター君は上手に説明をし、このままだと、会社は破綻。経済市場も破綻……みたいな結末を提示するわけ。

もちろん経営者はわかってるのよね。で、立ち上がって……いろいろ話を始めるんだけど、ここがさすがの経営者の格好いいところなのよ。


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今宵(既に午前四時)は、誰もプラスになる展開を話してないわけね。


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それは、カリスマ経営者トゥルドにとっては……サイレンス……。何も聞いてない(何も起こってない)のと同じ状態なんですって! すごく鳥肌が立ったわ。会議室もまさに静まりかえった。つまり、彼がこの地位にいるのは、金を生み出すため、利益を起こすためだけにいるだけで、マイナス要素は自分の仕事人生においてあってはならない。下々どもが、「危ないです。破綻です、やばいです」と叫んでもそれは、サイレンス……静寂……誰も何も叫んでない。聞こえない。何も問題が起こってないのと同じだ。

すごい!

カリスマ経営者はこうでなくっては!!

金の亡者と切り捨てもできますが、経営者は金を生み出して資産を増やしていくのが仕事でしょ? だから彼の言う台詞は説得力があるのよね。みんなも押し黙ってしまうほどよ。既に元々全員黙っているんだけどさ。もっと黙り込む。美・サイレント。山口百恵。

華麗なる凄みです。ジェレミー万歳! さすがです。サイレンスとはいえ、問題には対処しないといけないなと、ここから戦略会議になっていきます。

ここの会議室での攻防は見事ですよ。もちろん、ジェレミーとケヴィン・スペイシーの演技っぷりが見所です!! ここで、経営者トゥルドと、サム(ケヴィン・スペイシー)の考え方の違いが、はっきりわかるんですよ。でも、トゥルドはサムの手腕をものすごく買ってるわけ。けれど、サムが生意気な口をきくので、さすがにトゥルドは激怒します。ジャレッド・コーエンのやり方で進めると言い切るカリスマ経営者トゥルド。けれど、会議が終わった途端に、サムに優しく声をかけるカリスマ経営者。二人で話そうとサムを経営者室に誘います。ああ、上司と部下。たまりませんあああああああ。うおおおおおおおおおおお。

投資実働部隊のトップがサムなんですよ。だからサムが動かないと、計画は頓挫する。経営者はサムを説得するが、サムは「部下達を騙し、そして市場をも混乱させるのはごめんだ」と断るんです。そして逆に経営者トゥルドを説得する。ジェレッド・コーエンよりも地位は下なのに、トゥルドに言ってやれる立場なんですよサムは。そこのところもポイントでしょうなあ。コーエンについては若造だ……とも経営者トゥルドは言ってたりするんですが、でも地位的にはコーエンを上にしてるのよねえ。サムが現場の実働部隊に尊敬されてる人物だ――というのをトゥルドは見抜いているのですよ。そういう人物も必要でしょ? そして、会社にノーと言える人も必要なのよね。けれど、さすがにトゥルドもサムが言うことを聞かないから、「君を失うだけになりそうだ……」と最後通告みたいな台詞をぶっぱなすのよ。つまり、解雇をちらつかせるのよねー。


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会議を終えて、ウィル(ポール・ベタニー)も感慨深げです。そんなウィルの肩をポンッと叩いて労る上司サム(ケヴィン・スペイシー)。その気遣いに部下達はメロメロになるのね。サムはちゃんとピーターの腕も、さすってねぎらってたもの。部下に慕われる上司なんですよー(鼻血)。

ここで、映画における、簡単な経済理解を私なりにしたのでメモ的に書いておきます。難しい用語はわかりません。用語は間違っているし、経済理解もきっと間違ってます。完全に自分納得での理解。


二週間くらい前から、危ない兆候は見え隠れしていた。その変動率を解雇された上司エリクは自分なりに研究していた。ただ、危なくなるだろうという予測はかなり前に(一年前?)、サラ・ロバートソン(デミ・ムーア)に告げていた。サラは、コーエン(サイモン・ベイカー)と経営者トゥルドにも伝えていた。しかし、計算率がその時は間違っていた為(サラorコーエンのミス)、それほどの危機感を、経営陣は見抜けなかった。

解雇された上司エリクは、独自にそれからも探ってはいたが、確実な数値を導きだせてはいなかった。それを部下のピーター(ザカリー・クイント)に託したら、彼が数値を導きだし、それこそ、すぐにどうにかしないと……会社そのものが駄目になる可能性があるという状況が発覚した。

会社を救うには、まさに焦げ付きつつある投資物件全て――(これの正式名称が何かはわからないです。ごめん)、会社の資産を全て売却するしかない。サムの見解によると売却は可能だが、当然、マイナス赤字は避けられない。けれど、トゥルドは「そのくらいの赤字ならば、経営者自らが補填する」とカリスマらしく言い放つ。クール。

その方法をとれば、会社そのものは、ぎりぎり救える。逃げ切れる。

だが、その売却した投資物件は、膨大な量、放出される為(しかも焦げ付いている)、あっという間に紙くず資産になる。つまりゼロ価値。すると市場において混乱がおこる。他の投資会社や、個人投資家が、気付いてから売ろうと思っても、既にゴミクズ同然になってしまっている為、誰も買わない。売れない。

破産する人、会社、多発。経済の混乱。

カリスマ経営者の会社は、まだ値段がついているうちに全て売ることになるので(赤字覚悟で売ったとしても、一応、値段がまだついた状態で売れているから)、一時的には資産は減るけれど、会社は安泰となる。

トゥルドやコーエンはこの手法を絶対にとると決めるのです。しかし、サム(ケヴィン・スペイシー)は、それじゃ、余りにも酷すぎると。この会社が経済の混乱を起こすきっかけになるんですよ? と経営者トゥルドに詰め寄るわけよ。

しかし、遅かれ早かれ、他の会社や個人投資家、経済学者……誰かが気付くわけ。先に気付いたもの勝ちの世界なんです。ならば、一番最初に気付いた我々は逃げ切ろう……となるのは経営者なら当然なのよね。

もちろん、批判は受けるでしょう。そういうのも全てひっくるめたとしても、会社を、つぶすわけにはいかんのです。

サムも戦略そのものに逃げ腰になってるわけじゃなく、良心の部分でウィと言えないわけだ。

相当な経済悲劇になるわけだから。自殺する人も出るでしょう。そのくらいシビアなんだけど……だからといって、会社をつぶすのも多分抵抗はあるんでしょうなあ。だからサムとしては他の方法を模索したいんだろうけど、彼もわかってるわけ。とにかく資産(投資物件)全てを売却するしかない。

で、うまくやらないと、売却もすぐに感づかれるのよ。だって、売り買いが商売の会社なのに、売ってばっかりだとすぐに噂は広まる。だからこその短期決戦なの。

トゥルドを交えての会議が行われたのが、既に午前四時。

市場の開始時間は朝の九時半。それまでにサムが「わかったやります」と言ってくれないと、どうしょうもないっていう状態になるのでした。トレーダー達を動かさないと話が始まらないからね。

ですから、トゥルドもサムに冷酷な台詞を言いつつも、何度も説得を繰り返すのでありました。サムが要(かなめ)なのでありますのよ♪

夜が明けるまで、資料を作成したり、これからの対策を考えたりと、それぞれが夜明けまで過ごす場面にシフトします。


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ほら、ウィルの個室です。後ろにモニターもいっぱい。トレーダーらしい個室ですよね。給与明細が好きなセス君が、ウィルと自分の分の早朝朝食(午前四時ですから)を持ってきます。これ不思議だったんだけど、24時間食堂があるのかしらね。世界的に経済は24時間動いているわけだし、国際部門みたいなのも、あるんでしょうなあ。夜が仕事の人達もね。そういう人のために、福利厚生施設として当然あるものなのかもしれない。興味深い。というのも。スクランブルエッグっぽいものや、フルーツなどをお皿に盛ってくるんですもの。どこかのカフェで出前とかじゃないの。というのも、この後の会話でわかるんだけど、重役会議が終わってから、まだ誰も外に出てないって状態なんです。この後、解雇された上司エリクを連れ戻しに外に出るんですけどね。


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ウィルは直前まで禁煙ガムを咬んでいました♪ セス君に「あれはーどーした?」と催促すると、セス君は背広の内ポケットからソースらしき瓶をウィルに投げ渡すのよ。これがソースなんだか醤油なんだかわからないのよね。卵にソースかけるの? 咬んでいたガムをソース瓶の蓋にくっつけるウィル。ガムを他の物質にくっつけて置く……っていうシーンも、アメリカ映画だとよく出てくるよねえ。日本じゃその行為をしている人を見つけるのも難しいけど。あっちの映画では、咬んでいたガムを出さないといけなくなった場合、何故か、他のもの(それこそ、机やら、箱やら缶やら)にびたっとくっつけて、また、食べられるようになったら、それを口に戻すんだよね……。すごく不思議な光景です。もちろんお行儀が悪い行為なんだろうなーとは思うんだけど、割と日常的にやってる人が多いっていう証拠でもありましょう。

ドイツ映画ではまだ見かけてないかなあ……。ガムは圧倒的にアメリカ人がよく咬んでいる筆頭だ。


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そう、ウィルのお皿には、やけにフルーツが乗ってるなとは見ていて気付きました。案の定ウィルも「何で?」となってます。セス君が食べるお皿も映るのよ。その皿にはフルーツはのってないの。ウィルに問いかけられて、セス君はくすりと笑って誤魔化してます。

上司と部下……鼻血ぶうううううううううううう。

特にボーイズ愛っぽくは鑑賞してませんよ。そうじゃなくて、本当にサラリーマン萌えなんですよ。サラリーマンが普通の生活でも私は好きなのよ。だからこその鼻血です。

そういえばお皿を持ってきた時、チョコバーみたいなものも、ウィルに頼まれてたらしく、机の上にそれを置いてましたねセス君。

チョコバーも王道のアメリカアイテムですな。

ピーター君は食事もとらず、外の空気を吸いに行くといって出て行きます。ここで「外に出てもいいですか?」とウィルに聞くのよね。すると、ウィルは「刑務所じゃないんだから構わないよ」みたいに言うの。そして「俺にも一緒に来てほしいのか?」なんてピーターに言うのよ! きゃふーーーーーーーーん。上司と部下萌え。ふふぉー。ふっふぉーーーーー。

こういうポール・ベタニー最高。ああ、ポール・ベタニーが上司だったら最高に素晴らしい職場であろうな……。「外に行ってもいいですか?」と聞くと「俺にも一緒にいってほしい?」なんていう素敵上司。そうね……素敵だからいいのよね。ヘンテコ上司に言われても困るだけね。セクハラになるだけね。

このシーンで、給与明細大好きセス君は、またもや給料の話を(笑)。「トップ経営者トゥルドの年収を知ってますか?」と、ウィルに聞くの。するとピーターに「お前、いい加減にしろよ」と呆れられるんですが、ウィルはまた素直に教えてくれます。ポール・ベタニーが演じるウィルは素直だよ☆ カリスマトップ経営者の年収は8600万ドルですってよ。すごい金額。円高だけど、一ドル百円としたとしても……86億円ですぞ!? 年俸が86億円か……。そりゃ、多少の赤字は補填できるわな。今までの資産だってあるだろうし、個人的に当然資産運営してるだろうからね。すごいよね。桁が違うよ。自宅からヘリで会社に乗り付けるだけのことはあるね。

食事をしているところで、解雇された上司エリクの奥様から電話がかかってきます。ウィルが応対。その時、サムが部屋に入ってくる。

どうやら、エリクは帰宅したけれど、奥さんには帰ってきたと会社に告げるなと言ったそうです。だけど、奥様はこっそり会社にかけてきてくれました。

「トゥルドの部下に知らせますか?」(トゥルドもエリクを連れ戻せと、自分の部下に命令していた)と、ウィルはサムに問いかけるんだけど、サム(ケヴィン・スペイシー)は、「奴らに任すな。お前達で連れ戻せ」と、ウィルに命令します。

ピーター(ザカリー・クイント)は、外の空気を吸いに出てしまい、いなかった為、ウィルとセス君の二人でエリクを連れ戻しに行くのです。

何時間か前にもウィルはエリクの奥様と電話でやりとりしてたけど、この電話でのジェントルマン対応は、すごく萌えました。女性には優しいのだもの。男性にも優しいのだもの。ポール演じるウィルは独身設定ですが、ジェントルマンだもの。独身貴族なのだもの。


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解雇されたエリクはブルックリンにどうやら住んでいるのね。ウィルはそれを知っている。このシーン、字幕では「ブルックリンかよ……」となっていますが、英語を聞いていると ヘイト、ブルックリン……といった単語が聞こえるのよ。つまり「ブルックリンは嫌いだよ」って言ってるの。吹き替え版ではしっかり「ブルックリンは嫌いだ」と言っていました。もちろん字幕でもニュアンスは伝わるような演技になってましたよ。大丈夫です。

面白いのは、実生活でポール・ベタニーは、ブルックリンに住んでいたのよね。確か、一昨年あたり、引っ越してしまったんだけど。同じニューヨーク。今はブルックリンじゃないはず。でも以前は、結婚してしばらくブルックリンで暮らしていたんですよ。

お、記事発見。

[シネマトゥデイ映画ニュース] ポール・ベタニーとジェニファー・コネリー夫妻が、5年前に購入したニューヨーク・ブルックリンの邸宅を売りに出した。この家は、寝室が9室、本物の暖炉と庭付きの豪邸。二人はこの家を2003年に約3億8千万円で購入したが、売り出し価格はなんと約8億6千万円で、倍以上の値段が付いている。不動産業者の広告では、「いつの時代にも、ニューヨークで最も素晴らしい住宅」「いかなる点においても、ひたすらに素晴らしい物件」とされている。ベタニーとコネリーは今後、ハドソン河が眺められるウェスト・ビレッジの家に引っ越す予定だが、新居の広さは約371平方メートルで、価格は7億1千万円ほど。ベタニーとコネリーは2002年に結婚、翌2003年には男の子が生まれた。

2008年の記事でした。シネマトゥデイさんから引用です。

スターだから当然だし、もっと高い物件を購入しているハリウッドスターもたっぷりいるけれど、それでも七億円の豪邸を買えるって本当にすごいよなあと、ハリウッドスターストーリーを感じます。ここは夫婦でスターだからね。そりゃ買えちゃうわよね。ため息。でもスターがしょぼいのは嫌だから、本当にゴージャスに暮らしてほしいです。スターなんだもの。一般人には届かない☆であってほしいのです。

映画に戻ります

会社の地下にある駐車場。ウィルは自動車通勤しているようです。車を持ってこさせてます。自分の足で置いてある場所まで行かないんだもの。車を出してくれる人がいる駐車場。会社保有。もちろんある程度の地位がないと、そこには置けないものなのかもしれないが……。

アメリカ映画のセオリーとして、特にテレビドラマを観ているとよくわかるんだけど、人種的配慮がすごいじゃないですか。黒人、女性、アジア、プエルトリカン……そういった人種を散りばめないといけないようになってるよね。割と地位が高いところに黒人の人を置くとかさ。

『マージン・コール』でもそういう場面は見受けられましたが、最近のドラマほどの、あざとさはなかったです。顧問弁護士はインド系のエスニックっぽい人だったよね。違ったらごめん。あと、最初の解雇シーンで、アジア系のエリートが一人解雇対処で出てきた。

しかし、車を持ってくる人は黒人でした。こういうところは忠実に再現してるのかもなー。日本では生活してると感じられない人種的職業ヒエラルキー。アメリカは、クリーニング屋を営んでいるのは~系多発とか、そういうのあるものね。

気にしてはいないんだけど、あ、やっぱりここは黒人の人か……と気付いてしまうシーンではありました。

そしてチップ制度。自分の車を自分の会社に置いているのに、持ってきてもらっているから……チップを払うわけ。ここもチップ制度に慣れてない我々からすると「ああ、不思議な習慣だよあー」と思うところです。もちろんチップによってこの車運ぶ人の収入が安定するわけなんだろうけどね。必然なんでしょうけれど。


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ウィルの車であるからして、当然ウィルが自分のお金を払おうとしてるんですが、コーエン(サイモン・ベーカー)がウィルに話があるらしく、駐車場にやってくるの。で、コーエンがさっとチップを先に払うわけ。もうね、エクゼクティブならではのスマート攻撃なのよ。こういったチップの支払い場面一つとっても鼻血です。

で、コーエンさんは何の話があるかといえば……。


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サム(ケヴィン・スペイシー)が、経営陣に協力するかどうかわからないと危惧しているコーエンさんと経営者。で、直近のウィルの考えを聞きたいと。君は、この計画に賛同するよな?(君が賛同してくれればサムも考え直してくれるかも……といったニュアンスがこもっていると思います)と、コーエンはウィルに聞くわけ。


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ウィル(ポール・ベタニー)は、「サムの決断はいつでも正しい。サムは今回も必ず正しい判断を下します。そして、私はいつでだって彼の意見に従ってきた。今回も彼の下した判断を信じ、彼に従います。どんな大事であってもね……」と、言い放つの。ザ・クール&ホット。格好いい。ウィルは、サムが経営者達の考えに賛同するだろう…ともこの前にちゃんと言うのね。基本的には全員がそうするしかない――というのはわかってるわけ。けれど、それでも、サムが別の判断を下したら、それが会社の不利益になろうとも、ウィルは従うと。もちろん、経営者のいう通り、売却を進めるとサムが決めたら、当然それに従いもするの。

結局、全てはサムにかかってるのよ。

信頼しあっている部下と上司。その信頼関係はコーエンには築けないものなのね。地位が上でも。彼はきっと違う才能を認められてトゥルドに引き上げられたの。適材適所。その按配が経営者トゥルドの才能の一つなのだと感じました。

ここもポイントの一つだと思ったんですが、サムはいつでも割とトゥルドと意見を違えてきたらしいのよ。コーエンがウィルに「トゥルドはサムが協力を拒むのを、危惧している」と言うと、ウィルが「いつものことじゃないですか?」と答えるのね。これほどの経済危機じゃなくても、何度も危機は体験してきた彼ら。その都度、割と対立意見で過ごしてきたトゥルドとサム。

だけど、サムは解雇されてこなかったわけ。何十年もこの会社に居座れている。

そして、今回、ウィルもある意味、反抗してるわけでしょ? 上から直接「賛同するよな?」と命令っぽく言われても「私はサムの判断にしか従いません!」と拒否してるんだから。

だけど、多分、ウィルも解雇されないんです。

先に話してしまいます。今回、この経済危機回避の為、朝の市場が始まった途端に、また大量解雇がおこなわれるんですが(もんのすごいシビアよね。アメリカのシビアさに痺れるか呆れるかは……お好きなように!(笑))、ウィルは多分対象から外れるでしょう。それはウィルも後ほど部下に示唆します。実際の場面はどれも映し出されないんだけどね。

ある程度の反抗心を持った社員も必要なんだとわかるシーンですなあ。もちろん、会社に利益を生んでいるの前提ですよ? ただの反抗心だけだったら速攻解雇対象でしょうな。利益をもたらしてないのに、大口叩いているだけだったら。サムもウィルもトレーダーの才能があるからこそ、会社にとっては必要なんですよ。だから、多少の反抗心はいいわけです。しかもサムは後でわかるんですが、すごく会社を愛しているの。会社のために働くと言い切るからね。その精神を部下達は愛しているのでしょ? ウィルはもしかしたらサムほどの会社愛はないかもしれませんが、サムに対する忠誠はかなりのもの。そこがまた大事なのかもねー。部下に慕われる上司は必要なんですよ。けれど、冷酷な判断をする人も必要なの。コーエンには違うアプローチで経営者トゥルドは指導をしてきたらしいのね。「口をすっぱくして君に何度も言ってきたはずだ!」と叱咤するシーンもあるからね。コーエンに向かって。才能を認めているからこそ、引き上げた人材なんです。

サムもウィルも、コーエンの地位にはたどり着けないかもしれない。多分、そこまで地位を引き上げると彼ら(サムやウィル)の持つ、持ち味が失われてしまうのでありましょう。部下がたくさんいて、現場を動かす指導者としての才能を経営者はサムに見出しているんだと思うのよ。逆にコーエンはその才能がないんだと思う。人の心を動かすといった才能がないのをトゥルドは見抜いているのよね。だが、違う才能で金を稼いでくれるからこそ、40代で異例の抜擢したわけよ。ある意味、後継者として育てたいのかもしれない。けれど、まだまだ若造だと。

経営者の目線でみるとこの映画は更に面白いですよ。だって、自分が86億円の年俸を稼げる人物には、決してなれないじゃない?けれど、映画の世界では、自分をトゥルドに投影してみることはできるもの。映画は夢を見させてくれる娯楽ですよ!最高の娯楽の一つです。下っ端社員の目線で観るのも大事よね。それだと、私だってセス君タイプになっちゃうかもだもん。やたらと給与明細が気になるタイプになるのもわかるわよね。そして、科学者にもなれたかもしれないエンジニア系金稼ぎトレーダーになる可能性も。ピーター君に同調すれば、それだって可能。

映画って最高。トータル・リコールの世界だわ。夢を体験できるのだから。

映画に戻ります。

この時間帯は、デミ・ムーア姐御と経営者ジェレミー・アイアンズのシビアな会話、それぞれの夜明けなどが描写されて見所満載。それは各自、映画で楽しんでください。


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夜も明けて、ブルックリンの住宅街に到着したウィルとセス。ウィルのオープンカーは高いんでしょうなあ。夜中の屋上しゃべり場で車代に15万ドル費やすって言ってたもんねウィル。私は車関係、全然、わからないの。ポルシェやフェラーリ(≠フェラティオ)が高いというのはわかっているわよ。ちなみに、フェラティオ(ふぇらちお)をさりげなく挟んだのは、ここがいつも言っている通り、18禁ブログだからなのよ。作品そのものに、全く18禁の要素がない場合は苦肉の策で管理人である私が自ら犠牲になり、18禁用語を入れるようにしているの。無駄な努力なんだけど、これが億万長者への道なのよ(大嘘)。

上の写真で、ウィル(ポール・ベタニー)がセスに向かって「残酷な奴だな……」と言っているのは、セスが「この家を現金で買ってたなら、いいんでしょうけどね」なんて、また他人のお財布事情を勘ぐるからなのよ。セス君ったら! ここまでくると、面白い奴と割り切れます。どんだけお財布事情通になりたいのかと(笑)。しかも、解雇されたばっかりの上司の事情よ?尊敬の念がないわけよ。そこがピーター君とは違うの。

後でセス君については詳しく述べるからここでは端折るけど……とにかく、エリクはこのブルックリンの住まいを買ったばっかりなんですって。それはウィルが仲良しだから知ってた事情なんでしょうね。だもんで、セス君は「現金で買ったならいいけど、ローンだとしたら大変ですね」といった意味を込めて「現金で買ったならセーフですね」と、失礼な発言をするの。ほら、現金で買ったならば、既に支払いは済ませてる状態でしょ? 解雇されたとしても、住居に支払うお金にはすぐに困らない。現金払いしてるならね。生活費はそれこそしばらくは何とかなる。貯蓄だってしてるだろうから。でも、ローンだと、会社にいるとしてローンを組んでいるわけで、毎月の支払いが大変じゃないですか。給与がなくなるんだから。

ウィルはセスに「残酷な奴だな」と言いながらも「ここはローンで買ったのさ」とこれまた素直に教えてくれます。裏表がないのよウィルポール!素晴らしい。屈託ない感じなの。


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ブルックリンも行ってみたいなあ。この街並み、ニューヨークが舞台になってる映画をみると良く出てきますよねえ。高級住宅地なんでしょうなあ。裏側に庭などがあるんでしょうかね。道路に面して階段がついていて玄関っていう構造だもの。バックヤードがあるんでしょうな。

エリクは一度家に帰り、また近所をふらついていたようで、帰ってきたエリクとポールは階段に座って話あいます。

このあたりのロケシーンは、何度も私も記事で取り上げました。こういったシーンを撮っていたんですね! この記事や この記事この記事でも……メイキングっぽく取り上げました♪

ウィルの説得に、エリクは応じません。クビにされたのに会社に戻るなんてバカげてると、断ります。けれど、ウィルは金をふんだくれと、はっぱをかけるのよ。こっちから仕掛けてやれってね。そうでもしないと、解雇手当や、他のオプションも取り上げられるぞ? と、アドバイスをするんだけど、エリクは首を縦にふらない。そうこうしているうちに、経営者トゥルドが送り込んだ部下達がやってきてしまう。ウィルとの関係は険悪にならないんだけど、エリクは絶対に会社に行かないと言い張ります。

ウィルは説得を諦めて、セスとまだ会社に戻る。

そうこうしている間に、経営者トゥルド(ジェレミー・アイアンズ)は、トイレで顔を洗っているサム(ケヴィン・スペイシー)をまた説得しにくるのよ。で、これまた攻防。どうしてもサムのパワーが必要なの。ここで、あるメモをサムに渡す。気前がいいとサムが評するほどの、報酬が書いてある。これは後ほど、どんなオプションであるかわかりますのだが(各自映画でお確かめを♪)。やってくれたらその対価を払うと経営者は約束するの。そして本気で助けてくれとも言います。そこで、サムは「会社は助けます」と言い放つのよ。ここの舌戦は映画でお確かめくださいませ☆ ケヴィン・スペイシーの小さなジェスチャーにも悶えました。ささやかなアドリブっぽいアクションに役者魂を感じましたよ。ヒントはゴミ箱です☆


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攻防が終わった後の、経営者トゥルド。美麗だから壁にゴツンしても美しいわね。ジェレミー・アイアンズも既に63歳だけど、まだまだ若いもの。全然若いわよ。加齢するとわかるけど、63って昔と違って老人じゃなくってよ。現役よ。でもこういう年の話って、本当に自分がその年齢に近づかないと実感ないものなのよね。私もそうだったもの。よぼよぼよぼ。加齢は生きている限り、誰にでも訪れる現象。受け入れると意外と楽だけど、それでも、もがき苦しむわよね!おほほほほ。でも大丈夫。加齢してもオタク魂やスターおっかけ魂は枯れていきませんから!(ぎらつく)

むしろ円熟味を増していくと豪語してもいいだろう(自画自賛)。

過去の遺産を使って雅やかに長々と感想を書いたりもできます(自己愛勃発)。

会社に戻るウィル(ポール・ベタニー)とセス(ペン・バッジリー)。

セスはいきなり「俺、クビになりますかね?」と、また心配な話をするのです。とことん気にするセス君なのだ。

ウィルは最初「さあな……わからんよ」と、誤魔化すんだけど、一呼吸置いて……

「クビになるだろうな」

「恐らく――ほぼ間違いない」

と、シビアに現実を告げます。この人事判断能力がウィルのまた一つの才能かもねえ。彼に人事権はないと思うんだけど、最初の解雇劇にも裏事情通みたいな状態だったし、何かしらのコネが社内的にあるのかも。それにウィルは自分がいつか解雇されるか…とか、会社はいつか駄目になるだろうといった見通しも冷静に立ててる雰囲気なのよね。それに対して、がっかりしないようにしてるのかもしれない。おたおたはしてないポール・ベタニー演じるウィル。その図太さがないと、この業界はやっていけないんでしょうな。

セス君がクビ対象なんだ――というのは、観ていても納得いく感じなのよねー。人物的にやっぱり小物なわけ。若手でも会社に多少の利益は、もたらしているらしいのだが、(最初の方で、自分自慢をしたりしてます。去年~ドル稼いだ<給与じゃなく会社にもたらした金額>などとピーターに確か教えてたから)、利益といってもウィルや他の先輩社員に比べたら、全然なんでしょうし、、同じ年齢(セス君は23歳の設定)でも、彼より稼いでいる人は、たくさんいるのでしょう。

で、とにかく確定じゃないけど、クビ作業は昨日大量解雇をやったばかりなのに、また今日もやる。この経済危機をきっかけに、会社が社員を代償にして乗り切る為に、大量解雇をやるわけよ。

セス君は完全に対象になるとウィルは断言するの。で、セス君はこれまた他人の給与明細が気になるだけあって、ウィルにすぐ「あなたはどうなの?」と聞くのよ。それがよくないんだと思うのだが!(笑)


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ここでウィルの自信が満ちあふれます。セーフさ。全然問題ないさ。そんな感じなの。実際に、そうなんでしょうなあ。彼は利益を生み出している側の人間なんだもの。

でも、ちゃんとセス君に言葉をたっぷり投げかけてあげるのよ。「お前が悪いんじゃない。タイミングが悪かったんだ。若手は真っ先にこういうとき切られる対象なんだよ」……と。そして、俺から慰めの言葉を聞くよりも、嵐が過ぎ去るのを待て……とアドバイスをする。この職業に誇りを持て、自分の価値を信じろと叱咤激励します。いい上司じゃないの。素晴らしいじゃないの。

このあたりのウィル(ポール・ベタニー)の演説を聴くと、ウィルもただの人情家じゃなく、シビアで冷酷に世間をみている……というのがわかります。これは多分、上司のサムもそうなんだと思うのです。人間味溢れていて慈愛に満ちた状態でビジネスをしてるんじゃないんですよ。ある意味、シビアに冷徹にやってるからこそ、会社に居残れてるのであります。その中でも、更にシビアな連中が存在するってだけで、ウィルやサムレベルの人でも、ある意味、一般人よりは上といった認識で仕事してるんだな――というのがよくわかるシーンです。

セスに「甘いこといってんじゃねー!」と叱咤激励シーン。ポール・ベタニーのシーンとしても目の保養です。

チェケナです♪

車の中でこの話をするんですが、その時、ウィルに「大丈夫か?」と気遣われた時には、セス君も「大丈夫ですよ……」と答えていたんだけど――


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会社に戻ったら速攻でトイレで泣いてます。女々しく泣いてますのよ。あら、女性の方が最近は男らしい人も多いかもですね。女々しいというのは、あれかしらね☆ふふふ。まだクビを言い渡されてもないのに、迫り来る現実がショックすぎて泣いてるセス君なのでした。

泣いていると誰かがトイレに入ってくる。すぐには過ぎ去らなそうな気配。セス君は涙を拭いて個室から出てきます。すると、ジャレッド・コーエン(サイモン・ベイカー)さんが、朝の身だしなみを整えているのでした。タオルが完備されてる洗面所なのかしら。先ほど、サム(ケヴィン・スペイシー)がトイレで顔を洗った時には、備え付けのペーパーで顔を拭いてたけど、コーエンはタオルを持っていた。そして、トイレから出てきたセス君も、フェイスタオルっぽいもので手を拭いてたのよね。ホテルや高級レストランだと、ペーパーの代わりにタオルが置いてあるゴージャスな場合もありますけどなあ。

エクゼクティブフロアーのトイレは違うのかもしれない!ってセス君、エクゼクティブフロアーのトイレで泣いてたのか!?(笑)


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またしても、セス君、いきなりトップレベルの重役に「僕をクビに?」と聞きます。コーエンさんはクビには関係ない部署なんだと思うけど。つい聞いてしまうセス君。コーエンさんは、ふーん?みたいに気のない返事。全然、彼のことなぞ露ほども気にしてない状態です。一応、トイレから出てきたセス君がグッタリしてそうだったので、最初「大丈夫か?」と社交辞令で声はかけてましたけどね。


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セス君はいきなり「僕はずっとこの仕事に憧れてたんです!」とアピールするんです。でも、コーエンさん聞いてません。一応、アピールが終わった頃に、「そうか……」と、一瞥くれて、すぐにまた髭をそる行為に戻りますのだ。シビアー!

キャプチャーはしなかったんですが、ピーター(ザカリー・クイント)は、会社の外で夜明けを迎えてました。サム(ケヴィン・スペイシー)と静かに会話します。その時、ピーターもサムにむかって「俺たちは解雇ですかね?」とは聞くのね。で、サムも「そうだろうな。まあ、俺が解雇される理由は君たちとは違うけどね……俺の場合は安楽死さ」と語るんだけど、ピーターは解雇されるだろうと聞かされても全然平気そうなの。「まあ、そうなんだろうな」って表情で、それ以上は解雇関係の話はしないの。このあたりも人間性の違いをよく表したシナリオだったわよね。シンプルな演出で、さりげなくていい感じなのでした。


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髪を垂らすと、女度がアップする姐御デミ・ムーア様。エレガントよね。この撮影の後、私生活が不安定になったのか、激烈に痩せてしまわれたけど……心配だわ。映画では、こちら側に、とある人物がいるんです。彼に「君ならたっぷり報酬をもらえるさ」と励まされて気丈ににっこりと「当然よ」と答える姐御なのでありました。

姐御とコーエン(サイモン・ベイカー)の、どちらかのクビを差し出さないと、世間や他の役員が納得いかないだろ? と、経営者は判断し、姐御を切っちゃうのよね。そのあたりもシビアです。

さあ、いよいよ市場が開く時間が迫ってきました。サムはどう決断を下すのでしょうか。


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ウィルがみんなを呼ぶいつもの口笛ホイッスルをします。ここ、冒頭でもやってたジェスチャーね。実際に、この口笛の音はポールが吹いてるのかしら。綺麗な音が出てました。このホイッスルジェスチャー、私はできないもの。口笛は吹けるけど、これは無理だわあ。


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トレーダールームに設置されているミニ会議室にトレーダー達が集まってきます。そこで、サムはスピーチをして、みんなを鼓舞させながらも、こういった結果になって残念だと言うのです。ここは是非、映画でサムの素晴らしい決断のスピーチは堪能してください。


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上司サムの演説を真剣に聞く、ピーターとウィル。


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そして決断の結果……売却は進みます。そのシーンになると、サムや、ウィル、ピーター達の職場は映らないの。売ってる相手側の職場らしき場面が映り、トレーダー代表としてウィル(ポール・ベタニー)の声だけが響きます。ここでやっと、実際の仕事がわかるわけ。ウィル達が普段どのように売り買いしてるかってね。そのシーンはウィルが主役です。でも、ポール・ベタニーの声だけでそれを表現するのよ。それと相手の声だけね。

このシーンはかなりのファービュラス度ですわよ。ポールの声が最高っていうのは、ポール・ベタニーファンはもう既に御存じだものね。午前九時半から開始です!!カンカンカンカン!(鐘の音) ポールのファンじゃなくても、シーン的に納得いく方法だと感じました。逆にシンプルに的を絞ったおかげで、臨場感が溢れているのですよ。


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ここはまた違う相手と電話で話している状態。今度は女性が相手なんだけど、電話に相手が出るなり、ウィル(ポール・ベタニー)は「ハロー、ゴージャス!」って陽気なの。ああ、私もポールからハロー・ゴージャスって挨拶されたいわー。電話越しでもいいわー。こういった電話のやりとりも勉強になりますよねえ。気さくで華やかな性格なんだというのも、よくわかるし。こういったスマートでフレンドリーなやりとりがウィルの持ち味なんでしょうね。口がうまいっていう設定なんでしょう。だからこそ、管理部長を任されているのよ。そして自らも売り上げられる精鋭部隊の一員なのよ。

そんなやり手のウィルでも、相手に安く見積もられて「それは上司のサムに聞かないと……」と躊躇する取引もあるの。ここも萌え。しかし、そこは更に敏腕な腕を持つサム! 素早い決断をして速攻でウィルに指示を出すのですよ。ウィルが「それじゃ~億円の損失になりますよ?」とさすがに問い質すんだけど、「いいから売れ」と冷静に言い放つサム。

サムのエキスパートぷりを際立たせているシンプルながらも鋭い演出でした。

結果的に、会社は危機を免れます。

サムは不本意ながらも、全力を尽くしました。会社の為に。それでも、かなり会社に、たてついたのです。やることはやったけれど。当然、クビ(辞職)覚悟でやったのです。クビになるのは当然だと、ピーターにも告げた通り、そのつもりでいました。

が、しかし、ジャレッド・コーエンがオフィスにやってきて「君はここに残れるさ」と告げにくるの。
コーエンはサムに「君、上の人間に気に入られてるようだ」なんて言うわけよ。そう、気に入られてるわけなのよね。だって、会社の危機を絶対に救ってくれる人物なわけだし、実際に救ったし、そんな人材ほっとくわけないもの。

自分の部下を大量解雇して(解雇するのはケヴィン・スペイシーじゃないんだけどね)、自分だけ残るなんて!……サムの良心が許さない。カリスマ経営者は自分をクビにするつもりという発言を先ほどしてた。だから解雇されるのは心得ていたはずなのに……

サムは怒って、コーエンには何も話さず、席を立ち、経営者トゥルドに直談判に行くんですよ。


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トゥルドは既に優雅に食事をとっています。多分ここは役員レベルじゃないと入れないレストランだと思うわ。この光景を独り占めできる空間。そんなものを手放すわけはないですよね。会社をつぶすなんて、とんでもない話なんです。サムは直談判しにきますが、優雅にトゥルドはお出迎え。経営者ならではのゆとり。ふう~♪


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ワインだもの。もう会社は安泰なんだもの。ボルドー飲むもの。きっと高いもの。飲むものなのだもの。トップだもの。余裕のよっちゃんだもの。牛肉の赤ワインソテー的なものをむぐむぐ、食べているものなのだもの。フレンチを頼む。きっとそうだもの。

直談判の結果は各自確かめましょう。そして、この後、とある人物が解雇されるどころか昇進いたします。その現場も確かめましょうね。

ラストはここでは言及しませんが、ある人物のこれまでの人生の一端が垣間見えます。いろいろと解釈できるような感じですよね。あの人は?……みたいなね。なかなかいいラストだと私は感じました。不思議なラストではあるかもしれませんが、いいんじゃないかな。気に入ってますよ。

今回は感想というより、あらすじを追いながら作品を振り返る方式にしました。観た後でまた観たように楽しみたいと自分で思ったからです。

吹き替え版の感想を最後に。

基本的には当然、字幕で実際の俳優声がベストの作品だとは思うのです。私、普段は吹き替え版も大好き派です。日本の声優さんの実力はすごいものがありますし、作品によっては「吹き替え版の方が良かったわ」と思う場合もあるほどです。特にテレビドラマ系はその場合が多いかなあ。映画でもありますけど。

今回も多分、卓越した技を持った声優陣が、がんばっているのです。ただ、熱が入りすぎた劇場型発声で、それがちょっと違和感あったかもです。すごーく上手なんですよ。誤解のないように。否定してるんじゃありません。

オリジナルの字幕バージョンを聞くとわかるんですが、全員、今回はソフトな喋り方をする俳優さんなんですよ。野太い声の人が意外といないの。繊細とも違うんですが、ソフト系なんです。ソフトなんだけど、緊張感溢れる演技をするシーンも多発なのね。それが今回の映画の持ち味にもなってると感じるのよ。派手な金融業界映画だったら、怒鳴ったり、嘆いたりする声も派手目で問題ないけど、今回は割と各人抑えた感じの台詞回しだったのね。

それが、吹き替え版だと「マイアミ・バイス」かよ! というくらい派手な発声だったんです。それと、中年系の男性声が、全員、実際の俳優さんとかけ離れたボイスで、そこも違和感だったかしらね。ずっと聞いていると慣れちゃうんだけど、最初はぎょっとします。ケヴィン・スペイシーの声とジェレミー・アイアンズの声が、マッチングしてなかったような気がするなあ。でも、それも字幕版を先に鑑賞していたせいで、吹き替え版から入ったら気付かなかったかもね。

吹き替え版で観ると、キャラの設定も違って見えちゃうかもしれません。

だけど、吹き替え版もお勧めです。字幕だけではわからなかったニュアンスがわかるから。特に、ウィル(ポール・ベタニー)の結婚観なども、吹き替え版だと台詞としてはっきりあらわれてたりするシーンもあるんですよ♪

ポールの声は……ぎりぎりあってたかなあ。吹き替えの声は、ソフトでラフな感じではなかったんだけどね。割としっかりした発声。聞き取りやすくはありました。

でも、もう一度いいますが、声優さんの演技力は素晴らしいの。スキルは最高なんです。そこは間違いないんです。

字幕版、吹き替え版、個人個人で受け取る印象は違うでしょうからね。私は、とりあえずこの作品に関しては字幕版推奨としておきますわ♪ もちろんコアファンは全てチェケナです☆

都合、短期間で三回観たんですけど、今からすぐ四回目観ても平気です。じわじわきます。二度観ると、構造がよくわかると思うなあ。ポールの演技も今回はすごく堪能できた。

やっぱりポール・ベタニーは素晴らしいです。こういう役柄本当に似合ってるぅぅぅぅぅぅぅぅ。最高おおおおおおお。

サラリーマンシチュエーションが現実でも好きな私には本当に、至高の一本となりました。ああ、素晴らしかった。映画公開されなかったのは残念だわよねえ。せっかくDVDになったのだから是非、鑑賞してみてくださいね。ってここまで読んでくださった方は鑑賞済の方が多いでしょうけれども♪ ふほふほ

ひゅんひゅんω彡ω彡


今後の予定。三月中旬くらいまで、映画ブログは更新できないかもしれません。もちろんビッグニュースが飛び込んできたら、さっくり記事をアップしに戻ってきますよ。更新停滞する前に、最近のアウグスト・ディール氏といった記事をアップして潜りたいと思ってます。またお知らせの記事は書きますね。

長い文を読んでくれてありがとう!拍手も、いつもありがとうございます!

ω彡ではではω彡

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全てのカテゴリでネタバレあり。

18禁的な感想もあり。その場合は記事ごとに注意をつけていきます。

映画、海外ドラマの感想、俳優に対するパッショネイトが中心の映画ブログ。

ブログのタイトル Movie Star No.1 は ポール・ベタニー出演映画『ギャングスター・ナンバー1 (Gangster No.1)』から。Gangster の綴りはよく見ると star ではなく ster なのですが、映画スターといえばやはり☆ということでミックスしました。

ポール・ベタニー(英)とアウグスト・ディール(独)、ダニエル・ブリュール(独)、バーナビー・メッチュラート(独)、セバスチャン・ブロムベルグ(独)、ビロル・ユーネル(独)に惚れ込み中ですが、女優・男優 問わず、素敵な俳優さんをご紹介していきたいと思ってます。

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